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え?住み慣れた家なのに…?高齢者に増える「リースバック」の落とし穴にご用心!

マイホームって、人生の中でも本当に大きな買い物だし、一番安心できる場所ですよね。でも、年を重ねると、家の維持費や、これからの生活費、あるいは急な病気にかかった時の医療費など、「まとまったお金があったらな…」と思う場面が出てくるかもしれません。

そんな時、「家に住み続けたまま、お金が手に入る方法がある」として注目されているのが、「リースバック」です。

なんだか便利な仕組みに聞こえますが、実はこのリースバックで、特に高齢者の方が思わぬトラブルに巻き込まれるケースが、最近すごく増えているんです。先日(2025年5月11日)の日経新聞のニュースでも、このことが取り上げられていて、心配している人もいるかもしれませんね。

今回は、リースバックがどんな仕組みなのか、なぜ高齢者にトラブルが多いのか、そして困ったことにならないためにどうすればいいのか、分かりやすくお話ししたいと思います。

そもそも「リースバック」って、どういう仕組み?

リースバックを一言で説明すると、今の家をだれかに売って、その家を借りてそのまま住み続けることです。

図で表すと、こんな流れになります。


(引用:日経新聞)

つまり、家は自分の物ではなくなりますが、引っ越しの手間なく、まとまったお金を手に入れることができるわけです。この点が、「老後の資金に不安があるけれど、住み慣れた家を離れたくない」という高齢者の方にとって、大きなメリットだと感じられるんですね。

なぜかトラブル続出… 高齢者がターゲットになりやすい理由

ニュースでも言われているように、このリースバックを巡るトラブルが後を絶ちません。特に、高齢者の方が困った状況になってしまうケースが目立ちます。

一番多いトラブルの原因は、契約の内容をよく理解していなかったというものです。

不動産の契約って、書類も多いし、専門的な言葉がたくさん出てきますよね。リースバックは、家を「売る」契約と、その後「借りる」契約がセットになっているので、さらに話が複雑になります。

業者さんの説明を全て理解するのは難しく、

  • 「このまま住めますよ」と言われたから大丈夫だと思っていたのに、数年で出ていかなければならなくなった(「定期借家契約」という、期間が決まっている借り方だったのに気づかなかった)。
  • 最初の家賃は安かったのに、契約を更新する時に家賃をものすごく高くされてしまった
  • 本当はもっと高く家が売れたはずなのに、安く買い取られてしまったのではないか。

…といったケースが、後から発覚してトラブルになっています。

高齢者の方は、一人で不動産屋さんとの難しいやり取りをするのが大変だったり、話が難しくてうっかりサインしてしまったりすることもあるかもしれません。また、「住み続けられる」というメリットばかりを強調されて、将来のリスク(例えば、家賃が上がるかもしれない、借りる期間が決まっているかもしれない、など)について、十分に説明を受けられなかったり、理解できなかったりすることが、トラブルにつながりやすいんです。

家は大切な財産ですし、毎月の家賃はこれからの生活にずっと関わってくることですから、契約内容を曖昧にしたまま進めてしまうのは、とても危険なことなんです。

トラブルにならないために!リースバックを考える前に必ずやること

リースバックは、うまく使えば便利な方法かもしれません。でも、先にお話ししたようなリスクがあることをしっかり知っておくことが、本当に大切です。もし、リースバックを検討しようかな?と思ったら、契約する前に必ず以下のことを確認したり、行動したりしてください。

  1. 契約書は全部、すみずみまで読む! 売却代金はいくらか、これからの家賃はいくらか、何年借りられるのか、契約を続けるにはどうすればいいのか(家賃が上がる可能性はあるかなど)、分からないところは、恥ずかしがらずに業者の人に何度も聞いて、納得できるまで説明してもらいましょう。専門用語はメモして後で調べるのも良いですね。
  2. 必ず家族に相談する! 一人で決めないことが一番大事です。お子さんやお孫さんなど、信頼できる家族にリースバックの話があることを伝え、一緒に内容を確認してもらいましょう。家族に話すことで、冷静に考えることができたり、自分では気づかないリスクに気づけたりすることがあります。
  3. 専門家や公的な場所に相談してみる! 契約内容が本当にこれで大丈夫なのか心配な場合は、自治体にある「消費生活センター」や、弁護士さん、宅地建物取引士(不動産の専門家)といった第三者に相談してみましょう。客観的なアドバイスをもらえます。業者さんに勧められるままにせず、一度立ち止まって相談することが、後で困らないための大きな一歩です。
  4. 他の方法も比べてみる! お金を用意する方法は、リースバックだけではありません。「リバースモーゲージ」(家に住みながら家を担保にお金を借り、亡くなった後に家を売って返す方法)や、思い切って家を売却して、今の家よりも手ごろな別の賃貸住宅や、高齢者向けの住まいに引っ越すなど、色々な選択肢があります。自分にとって、どの方法が一番安心できるか、家族や専門家と一緒にじっくり比べて考えてみましょう。

まとめ:大切な家とこれからの暮らしを守るために

リースバックは、住み慣れた家から離れずにお金を用意できる、魅力的な仕組みに思えます。ですが、契約内容をよく理解しないまま進めてしまうと、「せっかく手に入れたお金が、高い家賃で消えていく」「住み続けられると思ったのに、結局出ていかなければならなくなった」といった、大変な事態になりかねません。

特に高齢者の場合、一度契約してしまうと元に戻すのが難しく、その後の生活に大きな影響が出てしまいます。

大切な自宅と、これからの安心できる暮らしを守るためにも、「すぐにサインしてほしい」と急かされても、絶対に焦らないでください。立ち止まって、契約内容をしっかり確認し、必ずご家族や専門家に相談することを忘れないでくださいね。

もし、リースバックで困ったことや不安なことがあったら、一人で悩まず、すぐに最寄りの消費生活センターなどに相談してくださいね。