2025年5月14日、鹿島建設が2025年3月期(2024年4月1日~2025年3月31日)の決算を発表しました。
建設業界の「今」と「これから」が見えてくる、注目の内容です。
さっそく、気になる数字やポイントを一緒に見ていきましょう。
2025年3月期連結決算:主な数字をチェック!
まずは、終わったばかりの2025年3月期の連結決算の主な数字です。
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売上高: 2兆9,118億円(前の期に比べて9.3%アップ!)
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営業利益: 1,518億円(前の期に比べて11.5%アップ!)
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経常利益: 1,606億円(前の期に比べて7.0%アップ!)
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親会社株主に帰属する当期純利益: 1,258億円(前の期に比べて9.4%アップ!)
売上も利益も全体的に伸びていて、しっかり稼いでいる印象ですね。
国内も海外も、建設の仕事や開発の仕事が順調だったことが、この好調な結果につながったようです。
特に目を引いたのは、海外のグループ会社の売上がグーンと伸びたこと。
買収した会社が力を発揮したり、東南アジアで利益が出やすくなったりしたのが大きいみたいです。
鹿島建設が、世界でもどんどん活躍の場を広げているのが伝わってきます。
じゃあ、来期(2026年3月期)の数字はどうなりそう?
鹿島建設は、次の期、つまり2026年3月期(2025年4月1日~2026年3月31日)の連結業績についても、やる気十分な予想を出しています。
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売上高予想: 2兆9,500億円(2025年3月期の実績から1.3%さらに増える見込み)
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営業利益予想: 1,590億円(同じく4.7%増える見込み)
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経常利益予想: 1,660億円(同じく3.3%増える見込み)
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親会社株主に帰属する当期純利益予想: 1,300億円(同じく3.3%増える見込み)
この目標が達成できれば、なんと5期続けて売上も利益もアップすることになります。すごいですね!
この目標に向けて、国内の建設事業では、これまで通りたくさんの工事を手がけつつ、コスト管理や生産性を上げることで、さらに利益を伸ばしていく計画です。
国内の開発事業では、これまで進めてきた投資が実を結び始めていて、いくつかの不動産物件を売却する予定もあるそうです。
海外の事業についても、世界の経済状況をよく見ながら、リスク管理をしっかり行い、良いタイミングで事業を進めていくことで、建設も開発も、両方で収益アップを目指すとしています。
ちなみに、為替レートは1ドル145円で計算しているとのこと。
2025年3月期、各事業の「成績表」は?
2025年3月期は、具体的にどんな事業が頑張ったのでしょうか?
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国内の土木事業: 大きな工事が計画通りに進んで、売上も利益もアップ。利益率も良くなりました。
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国内の建築事業: 大きな工事がひと段落する時期だったので、売上は少し減りました。でも、利益率は改善したので、営業利益は前の期と同じくらいをキープできました。
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開発事業など: 不動産の販売が計画通りに進んで、売上も利益も大幅にアップしました。
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国内のグループ会社: 前の期に大きな不動産売却があったので、その反動で売上も利益も減りましたが、建設の仕事を中心に安定して稼いでいます。
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海外のグループ会社: 建設も開発も伸びて、売上はなんと1兆円を突破!アメリカで買収した会社が貢献したり、東南アジアで利益率が回復したりしたことなどで、売上も利益も前の期より増えました。
建設業界でビジネスを成功させるためのヒント
鹿島建設の決算やこれからの計画を見ていると、建設業界でビジネスをうまくやっていくためのヒントがいくつかありそうです。
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世界に目を向けよう!M&Aも選択肢に:
日本の市場はだんだん落ち着いてきているので、海外で成長のチャンスを探すのはこれからのカギ。
鹿島建設が海外で成功しているのは、上手なM&Aや、その土地に合ったビジネスの進め方をしているからかもしれません。
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コスト管理と生産性アップは、これからもずっと大事:
材料費や人件費が上がっているのは、建設業界全体の課題です。
コストをしっかり管理して、新しい技術を取り入れたりして、効率よく仕事を進めることが、利益を出すためにますます重要になりそうです。
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いろんな事業にチャレンジして、安定した収益を:
建設の仕事は景気に左右されやすい面もあるので、不動産開発や賃貸のように、もっと安定して収益が見込める事業も育てていくのが賢明です。
鹿島建設も開発事業を伸ばして、うまくバランスを取ろうとしていますね。
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「人」が財産!協力会社とのチームワークも大切に:
人手不足は大きな問題です。
働く人たちの給料や働きがいを良くしたり、働きやすい環境を作ったりするのはもちろん、協力してくれる会社ともっと良い関係を築いて、チームとして力を合わせていくことが、これから成長していくためには欠かせません。
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地球や社会の課題解決に貢献する:
古くなった建物や道路のメンテナンス、災害に強い街づくり、地球にやさしいエネルギーへの転換など、地球や社会が抱える課題に取り組むことは、建設業界にとって新しいビジネスのチャンスにもなります。
鹿島建設も、リサイクルなどを進める循環型経済への対応を、これからの大切なテーマとして考えているようです。
気になる配当金は?株主への還元と会社の財務状況
鹿島建設は、会社が成長し続けることと、株主への利益のお返し(株主還元)とのバランスを考えて、お金の使いみちを決めるという方針です。
具体的に、2025年3月期の年間配当金は、1株あたり104円(前の期より14円アップ)でした。
そして、次の2026年3月期は、さらに増やして1株あたり112円を予定しているそうです。
配当だけでなく、株主への還元策として、会社の株を買い戻すことも考えていて、2025年5月14日には、最大で200億円分の自社株買いを行うことを決めました。
会社の財務状況(お金の流れ、2025年3月期)を見てみると、本業で稼いだお金(営業活動によるキャッシュ・フロー)は306億円のプラスでした。
ただ、新しい建物を建てたり、お金を貸したりしたので、投資で出ていったお金(投資活動によるキャッシュ・フロー)は1,048億円のマイナス。
借入れなどで入ってきたお金(財務活動によるキャッシュ・フロー)は616億円のプラスでした。
まとめ
鹿島建設の2025年3月期の決算と、これからの計画からは、いろいろと厳しい状況もあるけれど、変化に対応しながら着実に成長していこうという強い気持ちが伝わってきました。
鹿島建設の取り組みは、建設業界全体が今どんな状況で、これからどうなっていくのかを考える上で、とても参考になるはずです。
海外でのビジネスをさらに強化すること。
仕事のやり方をもっと効率的にしていくこと。
そして地球環境や社会、会社のあり方(ESG)を大切にした経営を進めていくこと。
これらのポイントは、これからの建設業界の動きを知り、それぞれの会社が成長していくための、大切な「道しるべ」と言えるのではないでしょうか。