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大東建託の決算、どう読む? 建設・不動産業界のこれからを考えるヒント

お疲れさまです。先日、大東建託の新事業についての記事を書きました。
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ふと、決算2025年5月2日に発表。 2025年3月期(2024年4月1日~2025年3月31日まで))が気になり読んでみました。

大きな会社だけあって、 これからの業界の動きを読む上で、 参考になりそうな情報が、色々と出ています。

そこで今回は、 この決算のポイントを皆さんと一緒に確認しながら、

  • 今の市場の様子はどうか?
  • 私たちはこれから何に注目し、
  • どうビジネスを進めていくべきか?

これらのヒントを探ってみたいと思います。


2025年3月期は好調! でも次の一手は慎重さも必要?

まずは、2025年3月期の主な数字から。 こんな感じでした。

  • 売上高: 1兆8,423億57百万円 (前期比 6.4%増)
  • 営業利益: 1,188億75百万円 (前期比 13.4%増)
  • 経常利益: 1,294億55百万円 (前期比 19.1%増)
  • 親会社株主に帰属する当期純利益: 938億58百万円 (前期比 25.7%増)

売上も利益も伸びていて、かなり良い結果ですよね。

日本の景気も少しずつ持ち直しているようですし、 特に賃貸住宅の新しい工事は、 前の年と比べて4.8%増えたみたいで 、これも追い風になったんでしょう。

ただ、次の期(2026年3月期)の見通しに目を移すと…

  • 売上高: 1兆9,700億円 (当期比 6.9%増 の見込み)
  • 営業利益: 1,250億円 (当期比 5.2%増 の見込み)
  • 経常利益: 1,270億円 (当期比 1.9%減 の見込み)
  • 親会社株主に帰属する当期純利益: 900億円 (当期比 4.1%減 の見込み)

売上や本業のもうけは、まだ伸びそうです。 でも、経常利益や最終的な利益は、少し落ち着いた数字になりそうですね。

これから力を入れていく分野への投資や、 コストのかけ方が変わってくるのかもしれません。


事業ごとの動き:どこに注目する?

では、それぞれの事業がどうだったのか、 もう少し詳しく見ていきましょう。

1. 建設事業:やっぱりZEHと、価格の見直しがカギ!

  • 完成した工事の売上(完成工事高)は、 5,409億75百万円(前の期より 9.9%増)と、しっかり伸びています 。

  • 工事の利益率(完成工事総利益率)ですが、 材料費などの値上がり分を、うまく価格に反映できたみたいで、 前の期より 1.9ポイント上がって25.3% になりました 。これは大きいですね。

  • その結果、営業利益は、 471億43百万円(なんと 63.1%増!)と、すごく伸びています 。

  • 受注した工事の額(受注工事高)も、 5,969億10百万円1.1%増)と、安定しています 。 特にZEH(ゼッチ)賃貸住宅の販売に力を入れていて、 これまでに累計で 121,678戸 も売ったそうです 。

ここから考えること: ZEHは国の後押しもあって、ますます大事になってきそうです。 材料費が上がっている中で、ちゃんと利益を出せているのは、 コスト管理とかお客さんとの価格交渉が、うまくいっている証拠。 「うちの会社はどうかな?」と比べてみるのもいいかもしれません。


2. 不動産賃貸事業:安定はしてるけど、利益をどう出すか?

  • こちらの売上は、 1兆1,646億72百万円3.1%増)と、引き続き手堅いですね 。 「賃貸経営受託システム」による一括借上物件の増加や、 保証サービス(ハウスリーブ株式会社の収入拡大など)が伸びているようです 。

  • お部屋探しの件数(入居者斡旋件数)も、 前の期より 2.1%増えて344,855件 でした 。

  • 気になる入居率ですが(2025年3月の家賃ベース入居率)、 住むための物件(居住用)で 97.8%(前の年の同じ月より0.1ポイントダウン)、 オフィスとかお店用(事業用)で 99.4%(変わらず) と、 かなり高い水準をキープしています。

  • ただ、営業利益は、 803億24百万円2.1%減)と、少し減っています 。 管理にかかる費用が増えたのかもしれないですね。

ここから考えること: 入居率が高いのは素晴らしいですが、これからは利益をしっかり出していく工夫が大切になりそう。 ITを使って管理を効率よくするとか、 住む人が喜ぶ新しいサービスを考えるとか、そういうのがポイントになりそうです。


3. 不動産開発事業:ぐんぐん伸びてる、注目の分野!

  • 売上は、 513億29百万円(前の期と比べて 64.8%もアップ!
  • 営業利益は、 51億51百万円(こちらはなんと 142.0%増!!) と、ものすごい勢いで成長しています。

投資用のマンションや、買い取ってリフォームして売る事業(買取再販事業)がうまくいったみたいです 。 株式会社アスコットの取得など、積極的な成長投資もこの成長を後押ししているようです 。

ここから考えること: この分野は、大東建託の中でも特に力を入れている成長ドライバーみたいですね。 特に東京の都心部での開発とか、 アセットマネジメントっていう資産運用の分野は、 これからの不動産市場で伸びていく一つの方向かもしれません。


戦略的な会社買収と、これからのこと

大東建託は、 ハウスコム株式会社の完全子会社化(2025年2月1日効力発生) や、 株式会社アスコットの連結子会社化(2025年3月26日) を実行しました。

これらは、 お部屋探しのネットワーク(賃貸仲介網)を強くしたり、 不動産開発をもっと広げていくための動きで、 会社全体をもっと強くしようという気持ちが伝わってきますね。


じゃあ、僕たちは何をヒントに、どう動く?

今回の決算を見て、 建設や不動産の仕事をしている私たちは、 どんなことを覚えておいて、これからどう動いていけばいいんでしょうか。

いくつかポイントをまとめてみました。

  1. ZEH住宅の流れは、もう止められない。 環境にいい家は、これからもどんどん求められそうです。 ZEHの基準をクリアするのはもちろん、 もっと省エネで快適な家づくりで、他との違いを出すのが大事になってきます。 大東建託がZEH賃貸をどんどん建てているのを見ると 、その流れがよくわかります。

  2. コスト管理と価格交渉は、しっかりと。 建設の仕事で利益をちゃんと出せているのは(建設事業の完成工事総利益率25.3% )、 コストをしっかり管理して、 お客さんに納得してもらえる価格で契約できているからです。 材料や人件費がどう動いているかよく見て、 自分たちの価格設定を見直す必要がありそうです。

  3. 賃貸管理はもっと効率よく、もっと喜ばれるサービスを。 賃貸のビジネスは、高い入居率を保ちながらも(居住用97.8% )、 利益をどう確保するかが悩みどころ(不動産賃貸事業の営業利益2.1%減 )。 デジタル技術(DX)を使って仕事の無駄をなくしたり、 入居者の人が「これいいね!」って思う新しいサービスを考えたりするのが大切です。

  4. 不動産開発や再生ビジネスにも、チャンスあり。 大東建託の不動産開発が急に伸びているのを見ると 、 この市場にはまだやれることがたくさんありそうです。 特に、古い建物を買い取ってリフォームして売るとか、 特定の地域に絞って開発する(アスコットが得意な都心部みたいに)とか、 新しい価値を見つけるのも面白そうです。

  5. M&Aも一つの手として、考えてみる。 大東建託が会社を買収しているのを見ると 、 全部自分でやるんじゃなくて、 得意なところがある会社と一緒になったり、グループに入れたりするのも、 成長を早めるいい方法だというのがわかります。 自分たちの会社の得意なこと、苦手なことをよく考えて、 他の会社との連携やM&Aも選択肢に入れてみるといいかもしれません。

  6. やっぱり「人」が大事、強いチームづくりを。 大東建託も中期経営計画で「人的資本経営の推進」って言っているように 、 変わりやすい市場で生き残っていくには、 社員のスキルを上げたり、色々な人が活躍できるチームを作ったりすることが、 すごく大事になってきます。


最後に

大東建託の2025年3月期決算は、 私たち建設・不動産業界が今どんな課題を抱えていて、 どんなチャンスがあるのかを、改めて示してくれたように思います。

まだまだ先が見えにくい部分もありますが、 時代の変化をちゃんと掴んで、考えてビジネスを進めていけば、 きっと成長できるはずです。

今回の話が、 皆さんが自分の会社の経営を考える上で、 少しでもお役に立てたら嬉しいです。


ちなみに…

大東建託は、2025年10月1日を効力発生日として、 株を1株から5株に分ける「株式分割」を予定しているそうです 。 もっとたくさんの人に株を持ってもらいやすくするのが目的みたいですね 。