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【決算速報】積水ハウス 第1四半期は増収減益、その理由と学ぶべきこと

積水ハウス株式会社が2025年6月5日、2026年1月期の第1四半期(1Q)決算を発表しました。

この3ヶ月間の主な経営成績をまとめました。

この3ヶ月の成績表(1Q決算ハイライト)

項目 金額 前年と比べて
売上高 8,940億円 +15.1%
営業利益 602億円 -15.9%
最終的な利益(純利益) 333億円 -33.8%

売上は大きく伸びた一方で、利益は減少するという結果になりました。

なぜ? 増収減益の理由

この背景にある理由は、とてもシンプルです。

  • 売上が増えた理由:アメリカの会社を買収したから
    • 2024年4月に買収したM.D.C. Holdings, Inc.の業績が加わったことが大きな要因です。 これにより、海外事業の売上は2,576億円と、なんと前年の2倍以上になりました。

 

  • 利益が減った理由:アメリカ事業の経費が増えたから
    • アメリカの住宅ローン金利が高い状況で、販売のためのインセンティブ(経費)が増えてしまいました。
    • 会社を買ったときの会計ルール上の費用(のれん償却額など)もかかっています。

未来の仕事の予約状況は? → 実はすごく好調!

「今の利益」は減りましたが、「未来の仕事」につながる予約状況はとても良いようです。

未来の仕事の状況 金額 前の年や年度末と比べて
受注高(この3ヶ月の予約額) 1兆787億円 +8.9%
受注残高(仕事のストック) 1兆9,392億円 +10.5%

特に、海外事業の受注高は3,764億円と、なんと去年の2倍(+108.2%)になりました。
このたくさんの予約が、会社側の「年間の見通しは強気(業績予想の修正なし)」という姿勢を支えているんですね。

会社の体力はどうなの? → 超健全です

会社の安定性を示す「財務」の数字も、引き続き健全です。

会社の体力チェック 数字
総資産(会社の全財産) 4兆7,264億円
自己資本比率(会社の安定性) 39.9%

自己資本比率は「会社の体力」を示す大事な数字。財産のうち、約4割が返さなくていい自分のお金ということです。
非常に筋肉質で安定した経営だと言えます。

国内事業の注目ポイント

海外が話題ですが、国内事業もしっかりしています。特に戸建住宅は好調です。

戸建住宅事業の成績(国内) 金額 前年と比べて
売上高 1,050億円 +4.1%
営業利益 61億円 +31.5%

「高くても選ばれる理由」がある商品は、きちんと利益を出せる、という良いお手本ですね。

じゃあ、僕らはどうすればいい?【第1四半期決算から考える3つのこと】

今回の積水ハウスの動きを見て、私たち中小の建築・不動産業者は何をすべきでしょうか?

  1. 事業のバランス、見直してみよう
    あなたの会社は「新築」だけに頼っていませんか? 景気に左右されにくい「管理」や「リフォーム」の仕事を少しずつ増やしていくと、経営がグッと楽になるかもしれません。

  2. 「ウチの強み」をハッキリさせよう
    「安さ」で勝負するのは、もう大変です。 「デザインなら負けない」「省エネ住宅なら任せて!」など、お客様があなたを選ぶ理由になる「武器」を磨いてみてはどうでしょうか。

  3. まずは、目の前のお客様を大切に
    海外進出や大きなM&Aもすごいですが、まずは目の前にいるお客様を大切にすることから。 丁寧な仕事が評判を呼び、リフォームや紹介につながる。それが一番の近道かもしれません。

 

さいごに

今回の積水ハウスの第1四半期決算は、M&Aによる「光と影」がはっきりと出た結果となりました。

しかし、その裏側には未来の成長につながる力強い受注や、国内事業の揺るぎない強さが見えます。

業界のトップ企業の動きを参考に、自社の強みを磨き、安定した経営を目指す。

この記事が、そのためのヒントになれば幸いです。