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【概要編】【相続土地国庫帰属制度】利用が4.7倍に急増!「いらない土地」を手放す方法と知られざる課題

親から相続した土地…

ありがたいはずなのに、 使い道がなくて困っていませんか?

遠すぎて管理できない山林や、 売ろうにも買い手がつかない田舎の土地。

固定資産税だけが毎年飛んでいく様子は、 まさに「マイナスの財産」ですよね。

これまでは、そんな土地を手放すには 「相続放棄」しかありませんでした。

でも、それだと預金や株といった 他のプラスの財産まで、すべて手放すことに…。

そんな悩みを解決するために生まれたのが

『相続土地国庫帰属制度』

というものです。

この制度、実は今、 利用する人がものすごく増えているんです。

今回は、その人気の理由と、 ちょっと気になる裏側の話を、 なるべく分かりやすくお話ししたいと思います。


「やっと手放せる…」利用者が去年の4.7倍に!

この制度、かんたんに言うと

「いらない土地だけを、国に返せる」

という画期的な仕組みです。

2023年に始まったばかりですが、 その利用件数は、昨年度(2024年度)に なんと【1229件】に到達。

その前の年が258件だったので、 一気に4.7倍も増えた計算になります。

特に、街なかの宅地を手放すケースが ぐんと伸びているようです。

なぜ、こんなに人気が出ているのか?

やはり、少子高齢化の影響が大きく、 下のような悩みを抱える方が増えているからです。

  • 実家を継いだけど、自分は都会で暮らしている…
  • 先祖から受け継いだ山や畑、どう管理していいか分からない…
  • 売ろうにも、崖っぷちだったり道に面してなくて、不動産屋さんに断られた…

こんなふうに管理にも処分にも困っていた人たちが、

「これだ!」

と、この制度に注目しているわけです。


いい話ばかりじゃない? 国の台所事情という現実

ただ、この話、 手放しでは喜べない部分も出てきました。

土地を引き取る「国」の側からすると、 結構たいへんなんです。

制度を使うとき、申請者は 「10年分の管理費」として、 原則【20万円】を国に納めます。

一見すると、まとまったお金に感じますよね。

でも、引き取られる土地の多くは、 ひと癖もふた癖もある場所ばかり。


▼ 実際に引き取られた土地の例(横浜市)

  • 場所: 横浜市の住宅街
  • 形状: 幅3mしかない、うなぎの寝床のような細長い土地
  • 状況: さらに、高さ5mの崖の上。家を建てるのはまず無理…。

この土地、国はとりあえず 雑草がご近所の迷惑にならないように、 約5万円かけてシートを敷きました。

でも、これはあくまで応急処置。

もし、崖が崩れそうになったら…? その対策費用は、20万円なんて 軽く超えてしまいます。

実際に、

  • 草刈り
  • フェンスの設置
  • 後から見つかったゴミの撤去

などで、国が払う費用が 負担金を上回るケースがすでに出ているそうです。


制度はこれからどうなる? 値下げもアリに?

このままでは、国の負担が どんどん膨らんでしまいます。

そこで、国も「このままじゃマズい」と 考え始めました。

具体的には、こんな見直しが検討されています。

  1. 管理の手間を減らす (土地の状況によっては、最低限の管理で済ませる)
  2. 売りやすくする (国が引き取った土地が売れなければ、値段を下げられるようにする)

要するに、 もっとコストを抑えて、 もっとお金に換えやすくしよう、ということです。

2028年ごろには、この制度が今とは 少し違った顔になっているかもしれません。


まとめとして

いらない土地の管理に悩む人にとって、 この制度が救いになるのは間違いありません。

ただし、国の負担という課題もあって、 今後ルールが変わる可能性も 頭の隅に入れておいた方がよさそうです。

「うちの土地も、もしかして…?」

もし、そう思ったら、

一度、専門家に 話を聞いてみるのも一つの手です。

すぐに申請しなくても、 こういう選択肢があることを知っておくだけで、 いざという時の心の持ちようが違ってくるはずですから。