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【条文では分からない】地階の窓は「延焼のおそれのある部分」に該当するの?

こんにちは!

延焼のおそれのある部分」って、基本中の基本ですよね。
でも、「地階の窓が、この『延焼のおそれのある部分』にあたるのか?」って聞かれたら、どう答えますか?
実は、これ、法律にハッキリ書いてないから、ちょっと悩ましい問題なんです。
今回は、この点について、解説していきます。

法律の条文には「地階」の文字がないけれど…

まず大事なのは、建築基準法2条六号にある「延焼のおそれのある部分」の定義には、
地階が明確に入っているわけではないということ。

条文では、隣の敷地や道路の中心線から、1階なら3m以内、2階以上なら5m以内の部分がこれにあたるとされています。
これだけ読むと、「じゃあ、地下は関係ないの?」って思っちゃいますよね。

 

国や自治体の「こう考えましょう」という指針が重要!

でも、実際の建築現場では、法律の条文だけでは解決できないことがたくさんあります。
そこで役立つのが、国土交通省が出している「建築物の防火避難規定の解説」や、各地方自治体の建築に関するルールなんです。
これらが、現場での判断の大きなよりどころになります。

 

これらの解説書やルールによると、

地階の窓でも、それがもし地上部分に面しているなら、「火事が燃え広がるのを防ぐ」という視点から、
1階の窓と同じように「延焼のおそれのある部分」として扱う
とされています。

 

具体例を見てみましょう。世田谷区の取り扱い要領には、こんな風に書かれています。(出典:世田谷区ホームページより)

つまり、地階の窓と「延焼ライン」の関係は以下の表のようになります。

地階の状況 「延焼のおそれのある部分」になるか? どんな防火対策が必要?
完全に土の中に埋まっている地階(窓なし) ならない 原則、特別な対策は不要
窓が地上に出ている地階
(ドライエリアなどがない場合)
1階と同じように、3mの範囲でなる可能性あり 防火設備(防火戸、網入りガラスなど)を付ける必要あり
窓がドライエリアに面している地階
(ただし、ドライエリアの壁が防火上しっかりしている場合)
ドライエリアの壁などで防火上守られている部分は除外される ドライエリアの壁などに燃えにくい性能を確保する

 

まとめ

建築基準法2条六号の文字だけ見れば、地階は「延焼のおそれのある部分」には含まれません。

でも、実際の建築現場では、「地階の窓が地上に出ていて、外から火事の影響を受ける可能性があるなら、1階の窓と同じように『延焼のおそれのある部分』として対策すべき」という考え方が主流です。

この考え方は、「建築物の防火避難規定の解説」のような公式な資料や、各自治体のルールによってしっかりと裏付けられています。
だから、私たちは、法律の条文だけでなく、これらの解説書や自治体のルールもきちんと確認して、設計に反映させることがとても大切です。そうすることで、法律のグレーゾーンで困ることもなく、安全な建物を設計できるようになりますよ!

さいごまでお読みいただきありがとうございました。