大和ハウスが明かした商業施設14cm沈下の真相、複雑な地盤を見抜けず杭到達誤認 https://t.co/NYHpBjOl1c
— いしいさん【建築基準法コンサルタント】 (@ishiisans) September 1, 2025
「買ったばかりの建物が沈んでいるらしい」──そんなニュースが耳に入ってきたら、あなたは驚きませんか? 静岡県掛川市にある商業施設「ミソラタウン掛川」で実際に起きた地盤沈下。最大で14cmも地面に沈み込むという、信じられない事態がなぜ起きたのか、その真相が明らかになりました。
見誤ったのは「地面の下の地層」
建物の沈下を防ぐためには、地中深くにある硬い地盤、いわゆる「支持層」に杭(くい)をしっかりと打ち込む必要があります。しかし、この施設では、杭がその支持層まで届いていませんでした。
なぜか?
設計・施工を担当した大和ハウス工業の調査によると、地盤の複雑な構造が原因でした。本来の支持層の上に、たまたま似たような硬さの「薄い地層」が存在していたのです。彼らはこの薄い地層を誤って支持層だと判断し、杭の長さを決めてしまいました。これが、今回の問題の根本的な原因でした。
どこまで掘ったか、どうやって見分ける?
「地面の中なんて見えないのに、どうやって支持層に到達したと判断したの?」──そう思いますよね。
今回の工事では、掘削した時のトルク(回転する力)の変化や、掘削機の先端に付着した土の種類、さらには掘削時の振動などを総合的に判断して「よし、支持層に到達した!」と結論づけていました。
しかし、この「総合的な判断」こそが、薄い地層に騙されてしまう落とし穴だったのです。
施設を買い取ってまで、再建に挑む理由
問題が発覚した後、建物は一時的に営業を停止せざるを得ませんでした。この状況を重く見た大和ハウス工業は、なんとこの施設をすべて買い取り、安全性を確保したうえで再建することを決断。2027年春の営業再開を目指しています。
今回の件は、どんなに技術が進歩しても、自然の複雑さを完全に読み解くことの難しさを私たちに突きつけました。しかし、迅速に問題と向き合い、責任を持って再建に乗り出す姿勢は、信頼回復への大きな一歩と言えるでしょう。
私たちが当たり前のように利用している建物が、地面の下でどのように支えられているのか。このニュースは、そんな普段見ることのない「建物の足元」の重要性を改めて教えてくれています。