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【積水ハウス2Q決算を読み解く】増収減益・業績下方修正の背景を徹底解説 🏠

積水ハウスが2025年9月4日に発表した2026年1月期第2四半期(中間期)決算短信は、建築・不動産業界に携わる私たちにとって見逃せない内容です。

増収ながらも減益、さらに通期業績予想の下方修正に至った背景を詳しく見ていきましょう。


経営の全体像:増収減益と下方修正

今回の連結業績は、売上高が

2兆154億8百万円と前年同期比で8.4%増と好調でした

しかし、営業利益は1,554億7千3百万円で1.1%の減益

親会社株主に帰属する中間純利益も1,016億3百万円で17.4%の減益となりました

売上は伸びたのに利益が減った主な理由は、海外事業にあります。

米国での事業拡大に伴う販売促進費の増加や、のれんの償却費用などが利益を圧迫しました

米国の住宅ローン金利が高止まりし、需要が鈍化する懸念から、販売インセンティブを増やさざるを得なかった状況が見て取れます

さらに、これらの状況を踏まえ、会社は2026年1月期の通期連結業績予想を

下方修正しました 。前回発表の予想に比べ、売上高は3.8%減、営業利益は6.1%減となる見通しです


セグメント別の明暗:何が好調で、何が苦戦しているのか?

好調な国内事業:請負型ビジネス 📈

国内の「請負型ビジネス」は好調を維持しています

  • 戸建住宅事業:売上高は2,382億5千3百万円(3.3%増)でした 。ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)比率が過去最高の96%を記録しており、政府の補助金制度も追い風となっています
  • 賃貸・事業用建物事業:売上高は2,787億4百万円(6.2%増)でした 。ネット・ゼロ・エネルギーの賃貸住宅「シャーメゾンZEH」が普及し、賃貸住宅受注に占めるZEH住戸の割合が76%に達しました 。これにより、高い入居率と賃料水準を実現しています

課題が見える事業:開発型・国際事業 📉

一方で、「開発型ビジネス」と「国際事業」は利益面で苦戦しました

  • 都市再開発事業:売上高は283億9千7百万円(61.2%減)でした 。前期に大型物件の売却が集中した反動で、今期は大幅な減収となりましたが、計画通りに進捗しているとのことです
  • 国際事業:売上高は6,143億8千1百万円(26.8%増)と大きく伸びたものの、営業利益は48.5%減の155億6千8百万円となりました 。これは、米国での事業拡大に伴う販売促進の強化や、のれんの償却額が増加したためです

注目すべき動向 💡

今回の決算は、わたしたちにとって今後の戦略を練る上で重要な示唆を与えています。

環境性能は競争優位性の源泉に

積水ハウスの好調な国内事業が示すように、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)をはじめとする環境性能の高い住宅への需要は高まっています。
顧客の関心は省エネや光熱費削減に直結しており、「グリーン」な提案は単なる付加価値ではなく、成約を左右する重要な要素となりつつあります。

海外展開はリスク管理が鍵

国内市場の飽和が進む中、海外への進出は多くの企業にとって選択肢となりえます。
しかし、積水ハウスの国際事業が示すように、為替変動や現地の経済状況といった外部要因によるリスクは無視できません。
グローバル展開を目指す際には、市場の特性を深く理解し、柔軟な戦略と徹底したリスク管理体制を構築することが不可欠です。


まとめ

今回の決算は、積水ハウスが国内事業で高付加価値提案(ZEHやESG)を推進し、安定した成長を維持している一方で、
海外事業では先行投資や市場環境の変化により利益が圧迫されている現状を示しています。
特に、米国市場での金利高止まりや需要鈍化が利益率の低下につながり、通期業績予想の下方修正という結果になりました。
建築・不動産業界の専門家は、国内での環境配慮型住宅の需要拡大と、グローバル展開に伴うリスク管理の重要性をこの決算から読み取るべきでしょう。