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微細構造定数(1/137) 宇宙の設計図に書かれた「逃げ」のない基準寸法

こんにちは。

普段、私たちは数字や比率に敏感ですよね。

意匠設計なら「黄金比(1:1.618)」や「白銀比(1:1.414)」。

あるいはコルビュジエの「モジュロール」。

構造設計なら、荷重係数や安全率。

数字は、私たちの思考の土台そのものです。

今日は、建築の世界からは少し離れますが、

「この宇宙そのものを設計したアーキテクト(創造主)が決めた定数」

とも言える、物理学の不思議な数字についてお話しします。

その名は、タイトルにもある「微細構造定数(α)」。

もし宇宙に「構造計算書」や「特記仕様書」があるとしたら、真っ先に記載されているのがこの数字です。


1. 単位のない「純粋な数字」

建築図面において、縮尺(スケール)が変わっても変わらないもの。

それは「比率」です。

この微細構造定数も同じ。

メートル法だろうが、尺貫法だろうが、あるいは遠い星の宇宙人が独自の単位を持っていようが、絶対に変わらない無次元の数です。

その値は、およそ1/137。

(厳密には α=1/137.035999… )

ノーベル賞物理学者リチャード・ファインマンは、この数字についてこう言いました。

「すべての物理学者が壁に掲げて悩み続ける数字だ。それがどこから来たのか誰も知らないが、自然界のあらゆる場所に現れる」


2. 建築士にとっての「α」の意味

では、この数字が私たち建築士にどう関係するのでしょうか?

もちろん、梁のせいを決める計算に直接は使いません。

しかし、概念として非常に面白い関係があります。

① 素材の「結合力」を決めている

私たちが扱う鉄、コンクリート、木材。

これらの強度は、原子と原子の結びつき(化学結合)によって決まります。

この結合を支配しているのが電磁気力であり、

微細構造定数αは、この「電磁気力の強さ」を表す指標なのです。

もし αの値が少しでも違っていたら?

鉄の原子結合の強さが変わり、建築基準法の許容応力度はすべて書き直しになっていたでしょう。

(というより、物質が今の形で存在できていないかもしれません)

② 光と色の演出

ル・コルビュジエは言いました。

「建築とは、光の下で繰り広げられる量塊の巧緻で正当で壮麗な遊戯である」

この「光」が物質とどう相互作用するかを決めているのも、実はα です。

ガラスが透明であること。

銅が赤みを帯びていること。

これらはすべて電子と光の相互作用の結果であり、その基本ルールブックが α =1/137 なのです。


3. 宇宙の「許容誤差」はゼロ?

建築の現場では「施工誤差」や「逃げ(クリアランス)」を考えますよね。

しかし、宇宙の設計においては、このαの値には一切の「逃げ」が許されませんでした。

物理学の計算によると、もしα の値が現在の 1/137 からわずか数パーセントでもズレていたら……

  • 強すぎれば: 原子核同士が反発しすぎて、炭素などの重い元素が作られない。

  • 弱すぎれば: 分子が結合を保てず、物質がバラバラになる。

つまり、

炭素が存在しない = 生命が存在しない = 私たちも、建築物も存在しない

という世界になっていたのです。

まるで、構造計算の安全率がギリギリかつ完璧に設定されているかのように。

この宇宙は「生命や物質が存在できるように」1/137 という値にチューニングされています。


4.究極の「納まり」

私たち建築士は、「ディテール(納まり)に神が宿る」と考えます。

しかし物理学者にとっての神は、この「1/137」という数字に宿っているのかもしれません。

日々の設計業務で寸法や法規に追われていると、数字が無機質なものに見えてくることがあります。

そんな時は、ふと窓から差し込む光や、支えている鉄骨の存在を感じてみてください。

「ああ、これも1/137という宇宙の定数がうまく機能しているおかげで、この空間が成り立っているんだな」

そう思うと、普段の構造計算や積算も、少しだけ壮大なロマンの一部に思えてきませんか?