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丙午(ひのえうま)は建築にとって「危険な年」?プロが教える「火」と「家」の深い話

今年の干支は、60年に一度巡ってくる「丙午(ひのえうま)」です。

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ニュースなどで「今年は火の気が強い年」といった話題を耳にした方もいらっしゃるかもしれません。

「火が重なる年」と聞くと、住宅に関わる私たち建築のプロとしては少しドキッとする言葉でもあります。

実は、建築の世界とこの「丙午」には、歴史的にも実務的にも、切っても切れない深い関係があるのをご存知でしょうか?

今回は、建築士の視点から「昔の人の火災対策(デザイン)」と「現代の不動産への影響」という、ちょっとマニアックで面白い話を解説します。


1. 昔の人は「建築デザイン」で火と戦った

木造住宅が密集していた江戸時代以前、人々にとって最大の恐怖は「火事」でした。 特に「火」の性質が重なる丙午の年は、当時の人々にとって火災への警戒心がピークに達する年でもありました。

そこで日本の建築には、火を避けるための様々な「まじない」がデザインとして組み込まれていったのです。

  • 屋根の下の「魚」 日本建築(寺社や伝統的な家屋)の屋根の側面、三角形の頂点あたりを見ると、板状の装飾がついていることがあります。
    これは「懸魚(げぎょ)」と呼ばれ、文字通り「魚」を模しています。「魚を吊るして水を呼び、火を防ぐ」という願いが込められた、建築的な火伏せ(ひぶせ)のお守りです。

  • 鬼瓦の「水」 屋根の鬼瓦に「水」という漢字が彫られていたり、波の模様が描かれていたりするのを見たことはありませんか? これも「屋根に水を上げて火を防ぐ」という意味があります。

  • お城の「鯱(しゃちほこ)」 天守閣に乗っている鯱も、実は口から水を吐いて火を消すとされる想像上の動物です。

「火の年」だからこそ、先人たちは建物に「水」を連想させる意匠を取り入れ、精神的な安心感を得ようとしました。この文化は、現代の和風建築のデザインにも脈々と受け継がれています。

2. 「1966年生まれ」と不動産市場の不思議な関係

次はもう少し現実的な、不動産と経済の話です。

前回の丙午である1966年(昭和41年)は、迷信の影響で出生数がガクンと減った年(前年比約25%減)として知られています。

これが建築・不動産業界に何をもたらしたかというと、「特定の時期だけ、住宅需要の谷ができる」という現象です。

人口のボリュームゾーン(団塊ジュニア世代など)とは異なり、1966年生まれの世代は人口が少ないため、その世代が「家を買う適齢期(30〜40代)」や「リフォーム適齢期(50代〜)」を迎えるタイミングでは、
市場の動きが他の年と少し異なる傾向が見られます。

また、兄弟姉妹が少ない傾向にあるため、親の家を相続する際に「争族(遺産争い)」になりにくいという側面がある一方で、「実家を継ぐ(住む)人がおらず、空き家になりやすい」という課題も指摘されています。

60年前の「暦(こよみ)」が、現代の空き家問題にもひっそりと影を落としていると考えると、建築と歴史の不思議な繋がりを感じずにはいられません。

3. 2026年、「火」に負けない現代の家づくり

では、60年ぶりに巡ってきた今年の丙午はどうでしょうか? 現代の建築技術は飛躍的に進化しました。「木造は火に弱い」というのは、もはや過去の話になりつつあります。

  • 省令準耐火構造: 木造でも火災保険が鉄骨造並みに安くなるほど、燃えにくい構造。

  • 燃え代設計(もえしろせっけい): 万が一火についても、表面が炭化するだけで芯まで燃え尽きない太い柱を使う技術。

かつて人々が「まじない」や「デザイン」で防ごうとした火災を、現代では確かな「技術」で防いでいます。

「火の年」である今年こそ、ご自宅の「防火性能」や「火災報知器の点検」あるいは「ご実家の空き家管理」について、改めて見直してみるのも良い機会かもしれません。

まとめ

丙午はエネルギーの強い「火の年」ですが、建築・不動産の視点で見ると、防災意識や市場の動向など、改めて考えるべきテーマが多い年でもあります。

先人たちが込めた「火伏せ」の願いを文化として尊重しつつ、現代の私たちは最新の技術やデータに基づいた冷静な視点も忘れずにいたいものです。

60年に一度のパワフルな年回り。その勢いを味方につけて、皆様にとって飛躍の1年になりますように。