【実務・試験に出る】地区計画とはなんぞや?【一級建築士がわかりやすく解説!】

こんにちは。いしいさん(@ishiisans)です。

 

実務でも試験でも、地区計画という言葉で出てきます。

 

今回は、この「地区計画とはなんぞや?」について、
確認申請の審査を4000棟以上やってきた一級建築士が解説していきます。

 

 

【一言でいうと】地区計画とは?

 

条例で定められたその地区の独自のルールです。

 

根拠は?

 

建築基準法第68条の2(市町村の条例に基づく制限)第1項です。

 

市町村は、地区計画等の区域(地区整備計画、特定建築物地区整備計画、防災街区整備地区整備計画、歴史的風致維持向上地区整備計画、沿道地区整備計画又は集落地区整備計画(以下「地区整備計画等」という。)が定められている区域に限る。)内において、建築物の敷地、構造、建築設備又は用途に関する事項で当該地区計画等の内容として定められたものを、条例で、こららに関する制限として定めることができる。

 

解説

簡単にいうと

地区計画区域内に建築物を建築するさいは、市町村が決めたその地区独自のルールを守ってねってことです。

 

 

・地区計画とは、条例で定められたその地区の独自のルール。
・条例なので、絶対に守らないといけない。

 

じゃあ具体的にはどういうルールがあるか?

 

具体的には、建築基準法施行令136条の2の5(条例で定める制限)第1項に書いてあります。

 

そこをまとめると以下の15個になります。

一 建築物の用途の制限
二 建築物の容積率の最高限度
三 建築物の建蔽率の最高限度
四 建築物の敷地面積の最低限度
五 壁面の位置の制限
六 建築物の高さの最高限度
七 建築物の高さの最低限度、建築物の容積率の最低限度及び建築物の建築面積の最低限度
八 建築物の形態又は意匠の制限
九 垣又は柵の構造の制限
十 建築物の建築の限界
十一建築物の特定特区防災施設(密集市街地における災害地区の整備の促進に関する法律第32条第2項第一号に規定する特定地区防災施設に規定する特定地区防災施設という。以下この条において同じ。)に面する部分の長さの敷地の当該特定地区防災施設に接する部分の長さに対する割合(以下この条において「特定地区防災施設に係る開口率」という。)の最低限度
十二建築物の構造に関する防火上必要な制限
十三建築物の沿道整備道路(幹線道路の沿道の整備に関する法律(昭和55年法律第34号)第2第二号に規定する沿道整備道路をいう。以下この条において同じ。)に面する部分の長さに対する割合(以下この条において「沿道整備道路に係る開口率」という。)の最低限度
十四建築物の構造に関する遮音上必要な制限
十五建築物の構造に関する防音上必要な制限

この15個のなかから、その地区にあった項目が採用されます。

 

 

試しに地区計画を見てみましょ

 

2つ例を上げてみます。

 

1つめの例

八王子市の片倉丘の上地区地区計画です。

 

 

 

(出典:八王子HPより)

 

この地区には、
・容積率の最高限度
・建蔽率の最高限度
・敷地面積の最低限度
・壁面の位置
・垣又はさくの構造の制限
が定められています。

なので、これらのことを守らなければなりません。

 

もう一つ例を見てみましょう!

こちらは、世田谷区環七大原・羽根木地区沿道地区地区計画です。

 

 

 

 

 


(出典:世田谷区HPより)

 

この地区には
・沿道整備道路に面する部分の長さの敷地の沿道整備道路に対する部分の長さに対する割合の最低限度 
・高さの最低限度 
・構造に関する遮音上必要な制限
・構造に関する防音上必要な制限
・垣又はさくの構造の制限
が定められています。

なので、これらのことを守らないといけません。

 

また、
この2つの地区計画を比べてみると、地区によって定められている内容が違うのがわかると思います。

 

 

・地区ごとに、地区計画の内容は異なる。
・地区計画の具体的な内容は、各特定行政庁のHPで調べることができる。

 

 

届出も必要

なお、地区計画には届出が必要です。
根拠は、都市計画法第58条の2(建築物等の届出等)第1項です。

地区計画の区域(再開発等促進区若しくは開発整備促進区(いずれも第12条の5第5項第一号に規定する施設の配置及び規模が定められているものに限る。)又は地区整備計画が定められているものに限る。)内においては、土地の区画形質の変更、建築物の建築その他政令で定める行為を行おうとする者は、当該行為に着手する日の前30日前までに、国土交通省令で定めるところにより、行為の種類、場所、設計又は施工方法、着手予定日その他国土交通省令で定める事項を市町村長に届け出なければならない。だたし、次に掲げる行為については、この限りではない。

一 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの
二 省略
三 省略
四 省略
五 省略

 

解説

つまり、着工する30日前までに、市町村長に届け出なければならないのです。

 

ちなみに、ちきんとした届け出をしなかったらとうなるの?

罰則があります。20万円以下の罰金です。

根拠は、都市計画法第93条第一号です。

次の各号の一に該当する者は、20万円以下の罰金に処する。

一 第58条の2第1項又は第2項の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をしなかった者

以下省略

 

解説

第58条の2は先ほど解説した「届出の条文」です。

つまり、届け出しなかったり、虚偽の届出をした場合は、20万円の罰金になるのです。

 

 

着工する30日前までに、市町村長に届け出なければならない。
・届出をしなかったり、虚偽の届出の場合は、20万円の罰金になる。

さいごに

以上、地区計画とはなんぞや?についてでした。

 

 

・条例で定められたその地区の独自のルール。
・条例なので、守らないといけない。
・着工30日前までに、市町村長に届出なければならない。

ぶっちゃけ、地区計画は、そんなに厳しい内容にはなっていません。

理由は、厳しくしたら建築物が建築できなくなるからです。

そもそも、法の趣旨としては、
・適切な都市機能の健全な都市環境を確保する
・良好な住環境を確保するため
です。
決して、建築物を建築させないようには、していないのです。

いいまちをつくるために、みんなで協力しようと言っているのです。

なので、地区計画はビビらなくて大丈夫ですよ!

さいごまでお読みいただきありがとうございました。