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今回は、「再委託の制限」と「一括下請けの禁止」の違いについて解説していきます。
・再委託の制限は、建築士法第24条の3
・一括下請けの禁止は、建設業法第22条 です。
先に結論をいうと
「再委託の制限」・・・300㎡を超える建築物の新築工事は、一括して他の建築士事務所に委託してはならない。
「一括下請けの禁止」・・・共同住宅の新築は、一括丸投げ禁止。
です。
では、それぞれの条文を見ていきましょう!
建築士法第24条の3(再委託の制限)
建築士事務所の開設者は、委託者の許諾を得た場合においても、委託を受けた設計又は工事管理の業務を建築士事務所の開設者以外の者に委託してはならない。
2 建築士事務所の開設者は、委託者の承諾を得た場合においても、委託を受けた設計又は工事管理(いずれも延べ面積が300㎡を超える建築物の新築工事に係るものに限る。)の業務を、
それぞれ一括して他の建築士事務所の開設者に委託してはならない。
解説
第1項は、建築士事務所の開設者以外のものに委託してはならないと書いてありますよね?
これ、どういうことかわかりますか?
具体的に言うと、
・建築士事務所登録をしてない人
・ただ建築士の資格だけもっている人
ってことです。
こういう人には、「仕事を振ってはいけませよ」ってことです。
重要なのは、第2項です。
「建築士事務所の開設者は、委託者の承諾を得た場合においても、一括して他の建築士事務所の開設者に委託してはならない。」と書かれています。
しかし、すべて他の建築士事務所の開設者に委託してはならないわけではありません。
それが、黄色でマーカーをしたところです。なんと書いてありますか?
「300㎡を超える建築物の新築工事に係るものに限る。」と書いてありますよね?
よって、
「300㎡を超える新築のみが一括して他の建築士事務所に委託してはならない」のです。
建設業法第22条(一括下請の禁止)
建設業者は、その請け負った建設工事を、いかなる方法をもってするかを問わず、一括して他人に請け負わせてはならない。
2 建設業を営む者は、建設業者から当該建設業者の請け負った建設工事を一括して請け負ってはならない。
3 前2項の建設工事が多数の者が利用する施設又は工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるもの以外の建設工事である場合において、
当該建設工事の請負人があらかじめ発注者の書面による承諾を得たときは、これらの規定は、適用しない。4 省略
解説
1項、2項には、ざっくりって、「一括丸投げ禁止」と書いてあります。
重要なのは、3項です。
重要な部分を抜き出すと
「政令で定めるもの以外の建設工事である場合、あらかじめ発注者の書面による承諾を得たとき、これらの規定(1項と2項)は、適用しない。」
つまり、
「政令で定めるもの以外は、1項と2項は、適用しない。」
二重否定になっていて分かりにくいですよね?
ということで、肯定的な意味に読み替えると
「政令で定めるものは、1項と2項を適用する。」
まとめると
「政令で定めるものは、一括丸投げ禁止」となるのです。
では、政令で定めるものとはどういうものがあるでしょう?
令6条の3を見ていきます。
令6条の3(一括下請負の禁止の対象となる多数の者が利用する施設又は工作物に関する重要な建設工事)
法第22条第3項の政令で定める重要な建設工事は、共同住宅を新築する工事とする。
解説
もうお分かりですよね?
政令で定めるもの=共同住宅の新築
なのです。
よって、最終的には、
「共同住宅の新築は、一括丸投げ禁止」となるのです。
さいごに
以上、【重要箇所マーカー有】「再委託の制限」と「一括下請けの禁止」の違い
結論は、
「再委託の制限」・・・300㎡を超える建築物の新築工事は、一括して他の建築士事務所に委託してはならない。
「一括下請けの禁止」・・・共同住宅の新築は、一括丸投げ禁止。
です。
再委託の制限も一括下請けの禁止も工事の対象は、新築です。増築や改築は対象にはなっていないので注意しましょう!
さいごまでお読みいただきありがとうございました。
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