【これでOK】長屋を設計するときの4つ注意点【一級建築士が解説!】

お勤めご苦労さまです。いしいさん(@ishiisans)です。

長屋ってどういうものかイメージできますか?
簡単にいうと、一戸建て住宅が2つ以上くっついたようなものです。
よって、長屋の確認申請は、一戸建て住宅とよく似ています。

しかし、違うところもあります。

なので今回は、長屋を設計するときの注意点についてまとめてみました。

結論は、以下の通りです。

①界壁を設ける。(界壁の位置、詳細図を明記する。)

②路地状敷地のときは、法43条第3項第五号に注意する。(建てられない場合がある。)

③消防同意が必要。(余裕をもってスケジュールを立てておく。)

④その他(都条例など)

 

では、詳しく解説していきます。

 

いしいさん
これで長屋も怖くない!

①界壁を設ける。

住戸間の壁は、界壁にしなければなりません。
これがなければ、ヤバい設計者だとレッテルを貼られます。
(界壁が記載されていない長屋は見たことがありませんが・・・)

界壁は、以下の2点を図面に記載しなければなりません。

・平面図に位置
・構造詳細図

根拠は、規則第1条の3です。
(詳しくは省略します。興味ある人は、法令集を読んで下さい。)

 

位置については、平面図にここが界壁ですよ!って分かるようにすればOKです。
ここは、問題ないでしょう。

問題は、構造詳細図だと思います。
そういう人は、こちら↓を参考にしてください。木造長屋でよく見かける構造詳細図を書いています。

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こんな感じで構造詳細図を書いておけば遮音性と耐火性能を満たした界壁の出来上がりです。

 

いしいさん
界壁の位置と構造詳細図を忘れずに!

 

②路地状敷地に建築するときは、法43条第3項第五号に注意する。

路地状敷地に長屋を建築するときは、法43条第3項第五号の規定に注意しなければなりません。

では、法第43条第3項第五号を見ていきます。

地方公共団体は、次の各号のいずれかに該当する建築物について、その用途、規模又は位置の特殊性により、第1項の規定によつて避難又は通行の安全の目的を十分に達成することが困難であると認めるときは、条例で、その敷地が接しなければならない道路の幅員、その敷地が道路に接する部分の長さその他その敷地又は建築物と道路との関係に関して必要な制限を付加することができる。

一 省略
ニ 省略
三 省略
四 省略
五 その敷地が路地状道路(その一端のみが他の道路に接続したものをいう。)にのみ接する建築物で、延べ面積が150㎡を超えるもの一戸建ての住宅を除く。

 

解説

簡単にいうと
路地状敷地にのみ接道し150㎡を超える長屋を建てるときは、
道路幅員や接道長さに制限がかかる場合がありますよってことです。

この条文は、大規模な長屋を想定して、平成30年9月25日に法改正されました。
なので、知らない人も多いはず。

土地を仕入れて長屋を建てようと思ったけど、あとになって建てられなかったとならないようにするために、必ず事前に確認するようにしましょう。

 

いしいさん
建てられないかもしれないので要注意!

 

③消防同意が必要

長屋は、消防同意が必要です。

根拠は、消防法第7条です。
詳しくは、こちら↓をどうぞ!

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小規模な長屋でも消防同意に3日はかかるので、
余裕をもってスケジュールを立てておきましょう。

 

 

いしいさん
消防同意が必要!スケジュールには余裕を持たせて!

 

④その他(条例など)

たとえば、東京都安全条例には、以下のようなことも定められています。

(出典:東京都整備局ホームページより)

 

この条例は、建築する場所によってあったりなかったり、
または制限が違うので各建築指導課やネットを使って確認するようにしましょう。

 

いしいさん
その他(条例など)の確認も忘れずに!

 

さいごに

以上、長屋を設計するときの4つ注意点についてでした。

結論は、

①界壁を設ける。(界壁の位置、詳細図を明記する。)

②路地状敷地のときは、法43条第3項第五号に注意する。(建てられない場合がある。)

③消防同意が必要。(余裕をもってスケジュールを立てておく。)

④その他(都条例など)

これ以外は、基本的に一戸建ての住宅と同じような申請でOKです。
つまり、木造2階建てなどのいわゆる四号物件の場合は、壁量計算などの図書の添付は不要です。

ざっくりですがお分かりいただけましたでしょうか?

さいごまでお読みいただきありがとうございました。