お勤めご苦労さまです。いしいさん(@ishiisans)です。
いつもこのブログを読んでいただきありがとうございます。
前回、「兼用住宅」と「併用住宅」の違いを解説しました。
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お勤めご苦労さまです。いしいさん(@ishiisans)です。 いつもこのブログを読んでいただきありがとうございます。 先日、R3年度の二級建築士の製図試験の課題が発表されました。 課題は、「歯科診療所併用住宅[…]
今回は、「3階建て兼用住宅は竪穴区画がいるの?」について解説していきます。
結論としては、
不要。(※ただし、条件あり)
です。
条文の文字を読む限りでは、必要なんじゃない?と思うはず。
ぶっちゃけ、ぼくも審査を始めたころは、そのように判断してました。(苦笑)
しかし、ある条件を満たせば不要なのです。
では、解説していきます。
竪穴区画 令112条第11項
主要構造部を準耐火構造とした建築物又は第136条の2第一号ロ若しくは第二号ロに掲げる基準に適合する建築物であつて、地階又は3階以上の階に居室を有するものの竪穴部分(長屋又は共同住宅の住戸でその階数が2以上であるもの、吹抜けとなつている部分、階段の部分(当該部分からのみ人が出入りすることのできる便所、公衆電話所その他これらに類するものを含む。)、昇降機の昇降路の部分、ダクトスペースの部分その他これらに類する部分をいう。以下この条において同じ。)については、当該竪穴部分以外の部分(直接外気に開放されている廊下、バルコニーその他これらに類する部分を除く。次項及び第13項において同じ。)と準耐火構造の床若しくは壁又は法第2条第九号の二ロに規定する防火設備で区画しなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する竪穴部分については、この限りではない。
一 (省略)
二 階数が3以下で延べ面積が200㎡以内の一戸建ての住宅又は長屋若しくは共同住宅の住戸のうちその階数が3以下で、かつ、床面積の合計が200㎡以内であるものにおける吹抜けとなっている部分、階段の部分、昇降機の昇降路の部分その他これらに類する部分
解説
赤と青でマーカーしてみました。ここがこの条文の骨格です。
その部分を抜粋すると
主要構造部を準耐火構造とした建築物であつて、
地階又は3階以上の階に居室を有するものの竪穴部分については、
当該竪穴部分以外の部分と準耐火構造の床若しくは壁又は法第2条第九号の二ロに規定する防火設備で区画しなければならない。
ただし、次の各号のいずれかに該当する竪穴部分については、この限りではない。
となります。
つまり、簡単に言うと、
準耐火構造にした建築物で、地階又は3階以上に居室があれば、竪穴区画が必要。
ただし、一号or二号に該当した場合は、竪穴区画いらないよ。
ってことです。
次は、ただし書き二号を見ていきます。
そこをざっくり言うと、
・階数が3以下で延べ面積が200㎡以内の一戸建ての住宅
・長屋若しくは共同住宅の住戸のうちその階数が3以下で、かつ、床面積の合計が200㎡以内であるもの
このどちらかに該当するものは、竪穴区画いらないよ。
ってことです。
階数3の準耐火構造の兼用住宅(3階に居室あり)は、竪穴区画が必要ですか?不要ですか?
条文をもう一度よーく読みながら考えてみましょう。
そうすると、
「準耐火構造」で「階数が3」で「3階に居室がある」ので、竪穴区画が必要 だと判断すると思います。
では次は、だたし書き二号に該当するか見ていきます。
そうすると、
だたし書き二号に書いてある「用途」に着目してみてください。
・一戸建ての住宅
・長屋
・共同住宅
この3つが対象になっていますよね?
つまり、何が言いたいかというと
兼用住宅って書かれてないですよね?
なので、ただし書き二号には該当しない。
よって最終的には、「竪穴区画が必要」と判断するはずです。
誰が読んでもこのように判断するでしょう?
しかし、最終的な答えは、条件を満たせば、竪穴区画が不要なのです。
次は、その根拠を解説していきます。
根拠
ずばり、「建築物の防火避難規定の解説2016(第2版)」です。
このP127に書かれています。
そこをざっくり言うと
次の条件をすべて満たせば、住戸内の竪穴区画はしなくても支障がないものと考えられる。
・準耐火構造とした3階建ての兼用住宅。
・延べ面積が200㎡を超え、かつ、住戸部分の床面積が200㎡以下。
・住宅部分と兼用部分との間を防火区画(準耐火構造の床・壁、防火設備)する。
となっています。
よって、
3階建ての兼用住宅は、条件を満たせば、竪穴区画を「不要」として扱ってよいのです。
さいごに
以上、【条文では読めない。】3階建て兼用住宅は竪穴区画いるの?についてでした。
結論は、
不要。(※ただし、条件あり)
条件は、
・準耐火構造とした3階建ての兼用住宅。
・延べ面積が200㎡を超え、かつ、住戸部分の床面積が200㎡以下。
・住宅部分と兼用部分との間を防火区画(準耐火構造の床・壁、防火設備)する。
です。
条文では、なんとも判断がしずらい内容でしたね。
本当に「建築物の防火避難規定の解説2016(第2版)」様様です。(笑)
第2版がR3年6月に出たばかりなので、まだ買っていない人も多いはず。
この機会に買ってしまいましょう!何かと役に立ちますよ!
さいごまでお読みいただきありがとうございました。
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