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令和7年一級建築士試験「設計製図」結果振り返り:合否を分けた「採点のポイント」を再確認

令和7年12月24日、一級建築士試験「設計製図の試験」の合格者が発表されました。
本記事では、公表された試験結果のデータを整理し、国交省が示した「採点のポイント」や「合否の基準」について記録としてまとめます。

今回の試験がどのような傾向だったのか、振り返りの資料としてご活用ください。

1. 令和7年試験の基本データ

まずは全体の結果概要です。

  • 試験実施日: 令和7年10月12日

  • 合格発表日: 令和7年12月24日

  • 実受験者数: 11,381人

  • 合格者数: 3,988人

  • 合格率: 35.0%

直近5年間の推移を見ると、令和6年の26.6%から大きく上昇し、35.0%という高い合格率となりました

2. ランク別割合:過半数が「ランクIII」という現実

合否の判定区分(ランク)ごとの割合は以下の通りです。

  • ランク I (合格): 35.0%

  • ランク II (知識・技能不足): 1.6%

  • ランク III (知識・技能が著しく不足): 53.7%

  • ランク IV (重大な不適合): 9.7%

合格率が高かった一方で、受験者の半数以上(53.7%)が「ランクIII」に分類されています。これは、ランクIVのような一発失格となる重大なミスはなくとも、計画全体の精度や設計条件への理解度において、合格基準に満たなかった層が非常に多かったことを示唆しています

3. 公表された「採点のポイント」

今回の課題(庁舎)において、どのような点が評価の軸となったのか、公表資料から重要項目を抜粋します。

■ 評価の視点(採点のポイント)

以下の項目が重点的にチェックされました

  1. 空間構成: 配置・外構、ゾーニング・動線、立体構成など。

  2. 建築計画(環境・意匠):

    • 周辺環境への配慮。

    • 来庁者と職員・議員等とのセキュリティを踏まえた動線計画

    • 議場、町長室・副町長室等の配置と諸室との関係性。

  3. 構造計画:

    • 採用した構造(耐震・免震・制振等)の特性を踏まえた計画。

    • 議場の構造計画。

  4. 設備計画:

    • 省エネルギー及二酸化炭素排出量削減への配慮。

    • 機能維持のための発電機の給電対象とした設備とその配慮。

■ 重大な不適合(ランクIV等の要因)

以下に該当するものは、「設計条件・要求図面等に対する重大な不適合」として厳しく判断されました

  • 図面の欠落・未完成: 要求図面が1面以上欠ける、面積表や計画の要点が未完成。

  • 不整合: 上下階の不整合、階段の欠落など。

  • 要求室の計画漏れ:

    • 主要室(議場、町長室、事務室など)

    • 会議室関連、カフェ、住民交流スペース

    • バックヤード(守衛室、防災備蓄倉庫、休憩室、更衣室など)

    • 設備・動線(受水槽室、消火ポンプ室、ELV、PS/EPS、駐車場)

  • 法令違反・逸脱: 直通階段に至る重複区間の長さなど、法令への重大な不適合。

4. まとめ

令和7年の試験は、数字の上では広き門となりましたが、中身を見ると「ランクIII」が過半数を占める厳しい評価状況でした。 特に「庁舎」という課題において、セキュリティ動線や議場のような大空間の構造計画といった、ビルディングタイプ特有の計画力が合否を分けたポイントであったと言えます。

合格された皆様、おめでとうございます。そして、惜しくも涙をのんだ方は、ご自身の答案がランクIIIの「知識・技能不足」だったのか、ランクIVの「不適合」だったのかを分析し、次年度の戦略に役立てていきましょう。