準防火地域と準耐火建築物の違いを解説|二級建築士製図試験対策

Architecture / Exam Glossary

「準防火地域」に建てると、
なぜ「準耐火建築物」にしなければいけないの?

二級建築士製図試験を受ける人へ

「準防火地域」と「準耐火建築物」、言葉は似ているのに、意味がよく分からないという人は多い。ここはセットで覚えておくと理解がぐっと深まる。今回は、この2つの言葉がどうつながっているのかを、今年の試験の課題に絡めて説明していきたい。

01

「準防火地域」って何?

まず、「準防火地域」という言葉から説明しよう。

都市の中には、火事が起きたときに燃え広がりやすい場所がある。駅前の商店街や、建物が密集した住宅街などがその代表だ。こういった場所に「火事に弱い建物」を建て続けてしまうと、一度火事が起きたときに街全体が燃えてしまう危険がある。

そこで建築基準法では、火事のリスクが高い場所を「防火地域」と「準防火地域」に指定して、そこに建てられる建物の構造に制限をかけている。防火地域がもっとも厳しく、準防火地域はそれよりやや緩い、というランク分けになっている。

準防火地域は、繁華街や商店街の周辺など、火事のリスクはあるけれど防火地域ほどは厳しくなくていい場所に指定されることが多い。今年の試験の課題「商店街に建つ併用住宅」の敷地も、この準防火地域に指定されている可能性が高いと見られている。

防火地域・準防火地域・指定なしの3段階比較
防火地域・準防火地域・指定なしの3段階比較
地域指定 厳しさ 根拠条文 主な場所
防火地域 もっとも厳しい 法61条 都市の中心部・駅前
準防火地域 やや厳しい 法62条 商店街・住宅密集地(今年の課題)
指定なし 制限なし 通常の住宅街・郊外
02

地域の指定が、建物の構造を決める

準防火地域に建物を建てるとき、その建物の「階数」と「延べ面積」によって、どんな構造にしなければいけないかが法律で決まる。これが建築基準法第61条・62条のしくみだ。

今年の課題は木造3階建てなので、準防火地域に建てる場合のルールを確認すると、次のようになる。

階数・規模 必要な構造
4階建て以上、または延べ面積1500㎡超 耐火建築物
3階建て(延べ面積500㎡以下) 準耐火建築物(今年の課題はここ)
2階建て以下、延べ面積500㎡以下 外壁の開口部に防火設備が必要

今年の課題は木造3階建て・延べ面積500㎡以下の規模が想定されるので、準耐火建築物として設計する必要があるということになる。「準防火地域に建てる」という地域の指定が、「準耐火建築物にする」という構造の決定に直結しているわけだ。

03

「準耐火建築物」とは、具体的に何をする建物なのか

準防火地域の指定から準耐火建築物が決まる流れ
準防火地域の指定から準耐火建築物が決まる流れ

「準耐火建築物」と言われても、具体的に何をすればいいのかがピンとこない人も多いと思う。大きくわけると、次の2つに対応することが求められる。

  • 主要構造部を準耐火構造にする(令107条の2)
    柱・梁・床・壁・屋根・階段など、建物を支える主要な部分が、45分間以上火に耐えられる構造になっていることが必要だ。これが準耐火建築物の核心で、防火構造(外壁・軒裏だけを燃えにくくする)よりも一段上の性能が求められる。
  • 開口部(窓・ドア)に防火設備をつける(令136条の2)
    窓やドアは壁に比べて火や煙が通りやすい弱点になる。防火設備とは、一定時間以上火を遮ることができる特別な窓やドアのことで、隣地境界線や道路に近い開口部には、これを設けることが求められる。

なお「防火構造(令108条)」という言葉も試験に出てくるが、これは準耐火建築物ではない建物、つまり準防火地域内の2階建て以下・延べ面積500㎡以下の建物に求められる仕様だ。準耐火構造より一段下の性能であり、準耐火建築物には当てはまらない。混同しやすいので注意しておきたい。

準防火地域内の規模 必要な対応
3階建て・延べ面積500㎡以下 準耐火建築物(主要構造部を準耐火構造に)
2階建て以下・延べ面積500㎡以下 防火構造(外壁・軒裏)+開口部に防火設備

「外から火が入らないようにする」→「建物全体が一定時間火に耐えられるようにする」という一連の流れとして理解しておくと、設計のときにも迷いにくい。

04

なぜ「耐火建築物」じゃなくて「準耐火建築物」なのか

ここでひとつ疑問が出てくる。「商店街に建つ3階建てなら、もっと厳しい耐火建築物にすべきでは?」という考え方だ。

答えはシンプルで、耐火建築物は木造では対応がとても難しいからだ。耐火建築物は、火事が収まった後でも建物が倒壊しないレベルの性能(1時間以上の耐火性能)が求められるが、木造でそれを実現しようとすると、構造が複雑になりすぎて現実的ではない。つまり「木造3階建て」という出題条件と「商店街(防火地域または準防火地域)」という立地条件を両立させようとすると、必然的に「準防火地域+準耐火建築物」という組み合わせに落ち着く。防火地域であれば木造3階建てという課題自体が成立しなくなるからだ。

もし仮に防火地域に指定されていたなら、3階建て時点で耐火建築物が必要になり、木造での設計は現実的に難しくなってしまう。今年の課題が「準防火地域」に収まると見られているのは、こういう背景から来ている。

05

まとめ

1

準防火地域は、火事のリスクが高い場所に指定されるエリア。建築基準法61条・62条により、建てられる建物の構造に制限がかかる。

2

3階建て・延べ面積500㎡以下の建物は、準耐火建築物にする必要がある。地域の指定が、自動的に構造の種類を決める。

3

準耐火建築物として設計するには、主要構造部の準耐火構造と、開口部の防火設備の2つが必要になる。「防火構造」は準耐火建築物ではない2階建て以下の建物に求められる仕様であり、準耐火建築物とは別物なので混同しないこと。

4

耐火建築物ではなく準耐火建築物なのは、木造で耐火建築物を実現するのが現実的に難しいから。今年の課題が「準防火地域」想定に収まっているのは、木造で設計可能な範囲にとどめるための出題側の配慮でもある。

References

  • e-Gov法令検索「建築基準法 第61条(防火地域及び準防火地域内の建築物)」 elaws.e-gov.go.jp
  • e-Gov法令検索「建築基準法施行令 第107条の2(準耐火性能に関する技術的基準)」 elaws.e-gov.go.jp

※本記事は2026年6月時点の公開情報をもとに作成しています。実際の出題内容・設計条件は、必ず試験当日の問題文と公益財団法人建築技術教育普及センターの公式発表をご確認ください。