こんにちは。いしいさん(@ishiisans)です。
令和2年一級建築士の製図試験の課題は、高齢者介護施設ですね。
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こんにちは。いしいさん(@ishiisans)です。 7月22日に令和2年一級建築士製図試験の課題発表がありました。 令和2年は、昨年までの課題発表と少し変わっています。 というわけで、 製図試験を4回も受けた私が 突[…]
この課題に関連してくるのは、バリアフリー法の「建築物移動等円滑化基準」です。
これと似た言葉で、「建築物移動等円滑化誘導基準」というのもあります。
今回は、この違いを解説してきたいと思います。
結論としては、
建築物移動等円滑化基準⇒義務。
建築物移動等円滑化誘導基準⇒義務ではない。円滑化基準よりも厳しい基準だが適合させると容積率など緩和が受けられる。
では、見ていきましょう!

建築物移動等円滑化基準の入口となる条文
バリアフリー法で一番重要な法第14条第1項です。
第14条(特別特定建築物の建築主等の基準適合義務等)
建築主等は、特別特定建築物の政令で定める規模以上の建築(用途を変更して特別特定建築物にすることを含む。以下この条において同じ。)をしようとするときは、当該特別特定建築物(以下この条において「新築特別特定建築物」という。)を、移動等円滑化のたえに必要な建築物特定施設の構造及び配置に関する政令で定める基準(以下「建築物移動等円滑化基準」という。)に適合させなければならない。
●令9条(政令で定める規模)
●令10条~23条(建築物移動等円滑化基準)
赤いアンダーラインをつなげて読むと
建築主等は、特別特定建築物の政令で定める規模以上の建築をしようとするときは、建築物移動円滑化基準に適合させなければならい。
となります。
語尾が「適合させなければならい」となっているので
絶対まもらなければならい、義務であるということが分かると思います。
次、
建築基準移動等円化基準とは脚注を利用して見ていくと
令10条~23条に書かれている内容です。
では、これらを図にまとめてみました。
令10条 | 建築物移動等円滑化基準 |
令11条 | 廊下当 |
令12条 | 階段 |
令13条 | 階段に代わり、又はこれに併設する傾斜路 |
令14条 | 便所 |
令15条 | ホテル又は旅館の客室 |
令16条 | 敷地内の通路 |
令17条 | 駐車場 |
令18条 | 移動等円滑化経路 |
令19条 | 標識 |
令20条 | 案内設備 |
令21条 | 案内設備までの経路 |
令22条 | 増築等に関する適用範囲 |
令23条 | 条例で定める特定建築物に関する読替え |
例えば、
・廊下の幅は、120cm以上とする。
・階段には踊り場を除き、手すりを設けること。
・主たる階段は、回り階段ではないこと。ただし、回り階段以外の階段を設ける空間を確保することが困難であるときはこの限りではない。
・高齢者、障害者が利用する便所を1か所以上設ける。
など
つまり
高齢者や障害者が建物を使いやすくするような基準がずらーっと書いてあるのです。

建築物移動等円滑化誘導基準の入口となる条文
ずばり、法第17条です。
ではこの条文の第1項と第3項を見ていきます。
まずは第1項
第17条(特定建築物の建築等及び維持保全の計画の認定)
建築主等は、特定建築物の建築、修繕又は模様替(修繕又は模様替にあっては、建築物特定施設に係るものに限る。以下「建築等」という。)をしようとするときは、主務省令で定めるところにより、特定建築物の建築等及び維持保全の計画を作成し、所管行政庁の認定を申請することができる。
赤のアンダーラインのところをつなげて読むと
建築主等は、特定建築物の建築をしようとするときは、所管行政庁の認定を申請することができる。
語尾を見ると「認定の申請をすることができる」となっているので、必ずしもしなくていいのです。
義務ではないのです。
次、第3項を見ていきます。
ここに建築物移動等円滑化誘導基準という言葉が出てきます。
所管行政庁は、第1項の申請があった場合において、当該申請に係る特定建築物の建築等及び維持保全の計画が次に揚げる基準に適合すると認めるときは、認定をすることができる。
一 前項第三号に揚げる事項が、建築物移動等円滑化基準を超え、かつ、高齢者、障害者等が円滑に利用できるようにするように誘導すべき主務省令で定める建築物特定施設の構造及び配置に関する基準に適合すること。
●省令1条(建築物移動等円滑化誘導基準)
赤のアンダーラインをつなげて読むと
所管行政庁は、次に揚げる基準に適合すると認めるときは、認定をすることができる。
移動等円滑化基準を超え、かつ、高齢者、障害者等が円滑にりようできるように誘導すべき主務省令(省令1条 建築物移動等円滑化誘導基準)で定める基準に適合すること。
つまり
建築物移動等円滑化誘導基準とは、建築物移動等円滑化基準よりも厳しい内容になっていて
それは、省令1条に書いてあるってことです。
では、建築物移動等円滑化誘導基準 省令1条に書いてある内容を表にまとめてみると
第1条 | 建築物移動等円滑化誘導基準 |
第2条 | 出入口 |
第3条 | 廊下等 |
第4条 | 階段 |
第5条 | 傾斜路又はエレベーターその他の昇降機の設置 |
第6条 | 階段に代わり、又はこらに併設する傾斜路 |
第7条 | エレベーター |
第8条 | 特殊な構造又は使用形態のエレベーターその他の昇降機 |
第9条 | 便所 |
第10条 | ホテル又は旅館の客室 |
第11条 | 敷地内の通路 |
第12条 | 駐車場 |
第13条 | 浴室等 |
第14条 | 標識 |
第15条 | 案内設備 |
第16条 | 案内設備までの経路 |
第17条 | 増築等又は修繕等に関する適用範囲 |
第18条 | 特別特定建築物の関する読替え |
第19条 | 協定建築物に関する読替え |
例えば、
・廊下の幅は、180cm以上とする。
・階段には踊り場を除き、両側に手すりを設けること。
・主たる階段は、回り階段ではないこと。
・高齢者、障害者が利用する便所階ごとに1か所以上を設ける。
など
先ほどの建築物移動等円滑化基準と比較してみると
より厳しい基準になっているのがわかると思います。
つまり、先ほどの規定より
より厳しい基準に適合させる必要があるのです。

なぜ義務でもないのにより厳しい基準に適合させるのか?
移動円滑化基準よりも厳しい基準である移動等円滑化誘導基準に適合させて
認定申請をするのかと言うと
・容積率の緩和を受けることができる
・補助金をもらえるから
などです。
つまり、
厳しい基準に適合させれば、その分メリットがあるからです。

まとめ
以上、建築物移動等円滑化基準と建築物移動等円滑化誘導基準の違いについてでした。
・建築物移動等円滑化基準⇒義務。
・建築物移動等円滑化誘導基準⇒義務ではない。円滑化基準より厳しい基準だが適合させれば容積率の緩和を受けられる。
たった「誘導」という2文字があるかどうかで全然違う内容になります。
この違いを抑えておきましょう!
さいごまでお読みいただきありがとうございました。