【違い】「長屋」と「共同住宅」【一級建築士がわかりやすく説明!】

建築基準法をわかりやすく説明するシリーズです。
今回は、【違い】「長屋」と「共同住宅」【一級建築士がわかりやすく説明!】です。

こんにちは。いしいさん@ishiisansです。

いきなりですが、
「長屋」と「共同住宅」の違いを知っていますか?

同じじゃないの?って思いますよね?
不動産の広告を見ても、長屋とか共同住宅の区別は書いてありません。

しかし、建築基準法では全く違う建築物になります。

結論としては、

長屋
・住戸に直接入る形式。

・基準が緩い。
・小規模なものが多い。
共同住宅
・共用部を通って住戸に入る形式。
・基準が厳しい。
・ある程度の規模のものが多い。

です。

では、わかりやすく説明していきますね!

 

いしいさん
長屋と共同住宅は違いますよ!

 

「長屋」と「共同住宅」の定義

「長屋」の定義

共用部を介さずに直接住戸に入る形式の建築物です。

例えば、一戸建て住宅がくっついているような感じです。

図にするとこんな↓感じ

一戸建ての住宅がくっついている感じになっていますよね。

そして、それぞれの住戸に直接アプローチできています。

これがいわゆる長屋です。

 

いしいさん
キーワードは直接

「共同住宅」の定義

共用部を通って住戸に入る形式の建築物です。

図にするとこんな↓感じ

グレーになっているところが共用部です。ここを通って各住戸に入っていきます。(ちなみにグレーの部分には屋根がかかっています。)

こういう建築物を共同住宅と言っています。

 

いしいさん
キーワードは、共用部を通って

ざっくりまとめると

✔長屋・・・・直接住戸に入る。
✔共同住宅・・共用部を通って住戸に入る。

 

いしいさん
直接なのか共用部を通ってなのかによって違ってくるってこと。

 

建築基準法上の違い

長屋

長屋の特徴は2つです。

①条例(※ある場合のみ)
②住戸間に界壁を設ける。

ちなみに界壁についてはこちらをどうぞ↓

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また、確認申請については、
ほどんどの長屋は、一戸建て住宅と同じ設計図書+界壁の位置及び詳細図があればOKです。
(∵法第6条第1項第四号に該当するため。)
つまり、構造に関することや採光計算などは添付不要です。審査対象外になります。

確認申請についてはこちら↓をどうぞ

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いしいさん
長屋は基準が緩い。

共同住宅

共同住宅の特徴は3つです。

①条例(※ある場合のみ)
②住戸間に界壁を設ける
③【重要】特殊建築物に該当する

①と②は長屋と同じです(※条例の具体的内容は違います。)
一番重要なのが③特殊建築物に該当することです。

特殊建築物については、こちら↓をどうぞ

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つまり、
災害が発生したときに、人が安全に避難できるように厳しい基準を満たさないといけません。

例えば(※一般的なRCのマンションを想定。)
✔避難施設等
✔非常用の照明装置
✔非常用の進入口
✔敷地内通路
✔内装制限
✔防火区画
✔条例(※ある場合のみ)
などなど

満たさないといけない基準がめちゃくちゃ多くなるのです。

確認申請については、
上記の多くの基準を満たしているかの設計図書が必要です。
つまり、これらの多くの基準に適合しているか全てチェックされるのです。

 

いしいさん
共同住宅は、基準が厳しい。
設計も確認申請もめんどくさい。

長屋と共同住宅どっちがいいの?

答えはありません。敷地や規模によって変わってきます。

一般的には

✔小規模(住戸が2戸程度)なら長屋
✔ある程度の規模であれば共同住宅

とすることが多いです。

基準が緩いから長屋にするというよりは、
敷地を有効活用しつつ、家賃収入をいかに増やせるかと考えるからです。

 

いしいさん
ケースバイケースってこと!

まとめ

長屋
・住戸に直接入る形式。
・基準が緩い。
・小規模なものが多い。
共同住宅
・共用部を通って住戸に入る形式。
・基準が厳しい。
・ある程度の規模のものが多い。

長屋と共同住宅は建築基準法では全く違う建築物だとわかりましたか?

建築士だけでなく、不動産屋さん、一般の方も知っておくと
建物を見るときに別の視点で見ることができますよ!

さいごまでお読みいただきありがとうございました。