建築設計に携わる皆さん、「居室」の定義、しっかり押さえていますか?
設計の基本でありながら、法規上の多くのルールの起点となる重要なキーワードです。
この記事では、「居室」の定義から主要なルール、そして見逃せない最近の変更点まで、根拠となる条文や告示番号も示しながら、忙しい皆さんでもサクッと読めるようにポイントを絞って解説します!
目次
1. 「居室」って何?超基本
- 定義: 建築基準法で「居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室」と定められています(法第2条第4号)。
- ポイント: 部屋の名前ではなく、「継続的に使うかどうか」が判断基準です。
- 居室の例: リビング、寝室、事務室、店舗の売場など。
- 非居室の例: 廊下、階段、トイレ、浴室、洗面所、納戸、倉庫(※使い方による)。
2. なぜ重要?「居室」にかかる主なルール
部屋が「居室」と判断されると、人が安全・健康に過ごすための最低限の基準として、主に以下のルールが適用されます。
- 採光: 自然光を取り入れる窓の大きさ。法第28条第1項)。
- 換気: 空気の入れ替えのための窓や換気設備(法第28条第2項)。
- 天井高: 圧迫感のない高さの確保(令第21条)。
- シックハウス対策: 化学物質対策(法第28条の2)。
- 防火関連: 内装制限(法第35条の2)、排煙設備(令第126条の2)など(建物の規模や用途による)。
3. 最低限押さえたい!「居室」の主要ルール3選
特に重要なルールを3つピックアップ!
- 採光
- 原則: 住宅の居室なら床面積の1/7以上の有効採光面積が必要(法第28条第1項本文)。
- 【最近の変更①】: 住宅の居室で、基準を満たす照明設備を付ければ1/10以上に緩和OK!(法第28条第1項ただし書き、令和5年国土交通省告示第109号等、2023年4月1日施行)
- → 省エネや設計自由度UPに繋がる可能性あり。
- 換気
- 原則: 床面積の1/20以上の有効換気開口(法第28条第2項) or 機械換気設備(令第20条の2)が必要。
- +α: シックハウス対策で24時間換気設備も原則必須(法第28条の2、令第20条の8)。
- 天井高
- 最低高さ: 2.1m以上(勾配天井などは平均高さで計算)(令第21条)。
4. ここ注意!判断が難しいケース&最新動向
- 台所・倉庫: 使い方(継続的な作業があるか等)によって居室か非居室か判断が分かれることも。
- 無窓居室: 採光・換気・排煙の窓がない居室は、防火区画など厳しい規制あり(法第35条の3)。
- 【最近の変更②】: 非常に厳しい条件付きですが、防火区画が免除される緩和措置が登場(法第35条の3ただし書き、令和5年国土交通省告示第110号、2023年4月1日施行)。設計の可能性は広がるものの、条件確認は慎重に!
まとめ:変化する「居室」ルールに対応しよう!
「居室」の基本的な考え方は変わりませんが、省エネや木造推進の流れを受け、特に採光や無窓居室に関するルールは近年変化しています。
仕様規定から性能規定的な考え方も取り入れられつつあり、設計の自由度が上がる反面、より専門的な知識と慎重な判断が求められます。