仮設建築物は、確認申請必要なの?【結論:条文によって異なる】

1項→原則、建築基準法が適用されない。よって、確認申請はいらない。
2項→確認申請はいらない。
5項→確認申請は必要。
6項→確認申請は必要。

こんにちは。いしいさん(@ishiisan)です。

ぼくが確認検査機関に勤めていたとき、仮設建築物の確認申請のチェックを2回やったことがあります。
いずれも用途は、住宅展示場。
きちんと、特定行政庁の許可証がついていました。

ぶっちゃけ1回目の審査の時(新入社員時)は、なぜ特定行政庁の許可証がついているのに、確認申請が必要なのか、理由がさっぱりわかりませんでした。
それなのに、さもわかっているような感じで対応してました。(苦笑)
(設計者ごめんなさい。)

今となっては、笑い話です。
しかし、実際、仮設建築物の条文はそのまま読むと難しいです。
ちょっとコツが必要です。

では、今回は、この仮設建築物の条文を解説していきます。

なお、仮設建築物は、法85条です。
ざっくり言って4つあります。(1項、2項、5項、6項)
なので、1項→2項→5項→6項の順番に解説していきますね。

法85条(仮設建築物に対する制限の緩和) 第1項

非常災害があつた場合においては、非常災害区域等(非常災害が発生した区域又はこれに隣接する区域で特定行政庁が指定するものをいう。第87条の3第1項において同じ。)内においては、災害により破損した建築物の応急の修繕又は次の各号のいずれかに該当する応急仮設建築物の建築でその災害が発生した日から1月以内にその工事に着手するものについては、建築基準法令の規定は、適用しない。ただし、防火地域内に建築する場合においては、この限りではない。

一 国、地方公共団体又は日本赤十字社が災害救助のために建築するもの

ニ 被災者で自ら使用するために建築するもので延べ面積が30㎡以内のもの

解説

非常災害があったときで、その災害から1か月以内に着工する応急仮設建築物(一号と二号に掲げるもの)は、建築基準法令は、守らなくていいよってことです。(ただし、防火地域内の場合は除く。)

つまり、超やばい災害が起きたときは、建築基準法は守らなくてOK。
よってこの場合、確認申請は、いりません。

 

非常災害時は、原則、建築基準法令は適用されない。よって確認申請はいらない。

 

法85条(仮設建築物に対する制限の緩和) 第2項

災害があつた場合において建築する停車場、官公署その他これらに類する公益上必要な用途に供する応急仮設建築物又は工事を施工するために現場に設ける事務所、下小屋、材料置場その他これらに類する仮設建築物については第6条から第7条の6まで、第12条第1項から第4項まで、第15条、第18条(第25項を除く。)、第19条、第21条から第23条まで、第26条、第31条、第33条、第34条第2項、第35条、第36条(第19条、第21条、第26条、第31条、第33条、第34条第2項及び第35条に係る部分に限る。)、第37条、第39条及び第40条の規定並びに第3章の規定は、適用しない。ただし、防火地域又は準防火地域内にある延べ面積が50㎡を超えるものについては、第62条の期待の適用があるものとする。

解説

グレーでマーカーを引いてみました。

赤マーカの仮設建築物についてはグレーのマーカーが引いてある条文は適用しない。

この条文で言いたいことは、たったこれだけです。

・赤マーカーの仮設建築物の代表例が、現場に設ける事務所です。

・グレーのマーカーの最初になんと書いてありますか?第6条って書いてありますよね?
つまり、第6条=確認申請の条文です。

よってまとめると、
現場に設ける事務所については第6条(確認申請)は適用しない となるのです。

このグレーでマーカーしたとこをを「一つのブロック」として読み替えると、
条文の骨格が見えてきます。言いたいこが何なのかがハッキリするのです。

現場に設ける事務所などは、確認申請がいらない。

※この条文は、ブロックで読むと言いたいことが何なのかハッキリする。

法85条(仮設建築物に対する制限の緩和) 第5項

特定行政庁は、仮設興行場、博覧会建築物、仮設店舗その他これらに類する仮設建築物(次項及び第101条第1項第十号において「仮設興行場等」という。)について、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認める場合においては、1年以内の期間(建築物の工事を施工するためその工事期間中当該従前の建築物に代えて必要となる仮設店舗その他の仮設建築物は、特定行政庁が当該工事の施工上必要と認める期間)を定めてその建築を許可することができる。この場合においては、第12条第1項から第4項まで、第21条から第27条まで、第31条、第34条第2項、第35条の2、第35条の3及び第37条の規定並びに第3章の規定は、適用しない。

解説

ここも読みやすくするため、マーカーしてみました。

・赤マーカーが、この条文の仮設建築物の説明です。
つまり、「特定行政庁が1年以内の期間を定めて許可した仮設建築物は、」ってことです。

・グレーのマーカーが、この仮設建築物について、適用されない条文です。
たとえば、最初に書いてある第12条。これは、定期報告の条文です。
第21条は、大規模建築物の主要構造部等の条文です。
なにが言いたいかわかりますか?
第6条(確認申請)は書かれていますか?適用されないと書いてないですよね。
よって確認申請は必要と読むことができるのです。

ざっくりまとめると
特定行政庁が1年以内の期間を定めて許可した仮設建築物についは、第6条(確認申請)は必要になるのです。

この書いてないから必要っていう読み方は、建築基準法独特の読み方です。
この読み方を使いこなせれば、一人前です。

 

特定行政庁が1年以内の期間を定めて許可した仮設建築物についは、第6条(確認申請)は必要になるのです。
※理由は、第6条は適用しないと書いてないから。

 

法85条(仮設建築物に対する制限の緩和) 第6項

第6項については、こちら↓の記事をどうぞ。

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さいごに

以上、仮設建築物は、確認申請必要なの?についてでした。

1項→原則、建築基準法が適用されない。よって、確認申請はいらない。
2項→確認申請はいらない。
5項→確認申請は必要。
6項→確認申請は必要。

5項で解説したように、建築基準法では、書いてないからOKでしょうという読み方をよくします。こういう読み方を出来る設計者は、実力のある設計者です。

あなたも、条文を読みこなし、ただ資格だけをもっているだけでなく、実力がともなった建築士を目指しましょう!

さいごまでお読みいただきありがとうございました。