Architecture / Exam Glossary
「竪穴区画」って何?準耐火建築物×3階建てなら必要になる?
二級建築士製図試験を受ける人へ
前回の記事で、準防火地域に建つ木造3階建ての併用住宅は「準耐火建築物」として設計する必要があることを確認した。今回はその続きとして、準耐火建築物×3階建てという条件が重なったときに出てくる「竪穴区画」について整理していきたい。
結論から言うと、今年の課題は原則として竪穴区画の対象になる。ただし、条件を満たせば免除される可能性もある。この「原則」と「ただし書き」の両方をしっかり理解しておくことが重要だ。
「竪穴区画」って何?
竪穴区画とは、階段や吹き抜け、エレベーターシャフトのような「縦に長い空間」を、まわりの部屋から壁やドアで区切っておくルールのことだ。建築基準法施行令第112条11項に定められている。
なぜこのルールが必要なのか。ストーブの煙突を思い浮かべてほしい。縦に長い空間は、熱や煙がまっすぐ上に駆け上がる通り道になる。1階で火事が起きたとき、階段の周りに壁がなければ煙は一気に3階まで上がってしまい、上の階にいる人が逃げられなくなる。階段室をまわりの部屋からしっかり仕切って、煙の通り道をそこで止めるのが竪穴区画の役割だ。
どんな建物が対象になるのか
竪穴区画が必要になるのは、主要構造部が準耐火構造で、地階または3階以上に居室がある建物だ。この2つの条件が揃ったときに、令112条11項が適用される。
今年の課題は、準防火地域内の木造3階建て併用住宅なので、前回の記事で確認した通り主要構造部を準耐火構造にする必要がある。さらに3階に寝室などの居室が計画されるはずなので、この2つの条件が揃い、原則として竪穴区画の対象になる。
ただし、条文にはただし書きがある。次の条件を満たす場合は免除される。
| 免除される建物の種類 | 条件 |
|---|---|
| 一戸建ての住宅 | 階数3以下 かつ 延べ面積200㎡以内 |
| 長屋・共同住宅の住戸 | その住戸の階数3以下 かつ 床面積200㎡以内 |
ここで注目したいのは、このリストに「兼用住宅」も「併用住宅」も出てこないという点だ。条文の文言だけを読めば、今年の課題「商店街に建つ併用住宅」はこの免除の対象に入っていないことになる。
今年の課題(併用住宅)ではどうなるのか

ただし、条文の文言だけで「竪穴区画が必要」と断定するのも早計だ。「建築物の防火避難規定の解説2023」(日本建築行政会議)には、兼用住宅・併用住宅の取り扱いについて次のように要約できる記述がある。
POINT
一部に店舗などを設ける場合においても、住宅部分が3層以下・200㎡以下となっていればただし書きが適用可能。ただし住宅部分と店舗部分の間を防火区画(準耐火構造の床・壁、防火設備)することが条件。
つまり、判断のカギは「住宅部分だけの延べ面積が200㎡以下かどうか」だ。建物全体の延べ面積ではなく、住宅として使う部分だけで判定してよいということになる。
| 住宅部分の規模 | 住宅↔店舗の防火区画 | 竪穴区画 |
|---|---|---|
| 200㎡以下 | あり(準耐火構造の床・壁+防火設備) | 不要 |
| 200㎡以下 | なし | 必要 |
| 200㎡超 | あり・なし問わず | 必要 |
ここが今年の課題で重要なポイントだ。住宅部分と店舗部分を防火区画でしっかり分けることは、「併用住宅」の定義(行き来できない)とも整合していて、設計の基本方針と法規の要求が一致している。つまり、動線を分けるだけでなく、防火区画として成立させること(準耐火構造の床・壁と防火設備の設置)まで踏み込めているかどうかが、竪穴区画の免除を受けられるかどうかの分かれ目になる。
竪穴区画が必要な場合、何をすればいいのか
住宅部分の延べ面積が200㎡を超える場合、または住宅部分と店舗部分の防火区画が成立しない場合は、竪穴区画が必要になる。その場合の対応はシンプルだ。
- 階段室を準耐火構造の壁で囲う
階段室の壁を準耐火構造にして、煙が廊下や居室に流れ込まないようにする。 - 出入口に防火設備(防火戸)を設ける
階段室の各フロアへの出入口に、遮煙性能のある防火設備(防火ドア)を設ける。常時閉鎖式または煙感知器と連動して閉まる仕組みにすることが求められる。
要求図書に「部分詳細図(断面)」があるので、この図面で階段まわりの防火区画をどう表現するかが採点ポイントになりえる。また「計画の要点等」では「住宅部分の延べ面積が200㎡以下であり、住宅部分と店舗部分の間を防火区画したため、竪穴区画は免除した」といった根拠のある記述ができると、法規を理解した上で設計したことが伝わる。
まとめ
竪穴区画とは、階段や吹き抜けを囲って煙の上階への拡散を防ぐルール。令112条11項に定められている。
主要構造部が準耐火構造で、3階以上に居室がある建物は原則として対象になる。今年の課題はこの条件を満たす。
ただし、住宅部分が200㎡以下で、かつ店舗部分との間を防火区画すれば、竪穴区画は免除できる。条文の文言には「併用住宅」は出てこないが、防火避難規定の解説(日本建築行政会議)でこの取り扱いが示されている。
免除できない場合は、階段室を準耐火構造の壁で囲い、各階の出入口に防火設備を設ける。「計画の要点等」での根拠ある記述が評価につながる。
References
- e-Gov法令検索「建築基準法施行令 第112条(防火区画)」 elaws.e-gov.go.jp
- 日本建築行政会議「建築物の防火避難規定の解説2023」(竪穴区画の運用解釈) jabmee.or.jp
※本記事は2026年6月時点の公開情報をもとに作成しています。実際の出題内容・設計条件は、必ず試験当日の問題文と公益財団法人建築技術教育普及センターの公式発表をご確認ください。