「建蔽率」って何?準防火地域×準耐火建築物で10%緩和される理由を解説【二級建築士製図試験対策】

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「建蔽率」って何?準防火地域×準耐火建築物で
なぜ緩和されるのか

二級建築士製図試験を受ける人へ

建蔽率は、集団規定の中でも最も基本的なルールのひとつだ。敷地の何パーセントまで建物を建てていいか、という上限を定めるもので、エスキスの段階で必ず確認しなければいけない数字だ。建蔽率オーバーは設計条件に対する重大な不適合として、最も大きな減点項目のひとつになる。最初に上限を正確に把握してからエスキスを始めることが絶対条件だ。

今年の課題では、準防火地域に準耐火建築物を建てることが前提になりそうだと、このシリーズの前回の記事で確認した。実はそれが建蔽率の緩和にも直結している。準防火地域に準耐火建築物を建てると、建蔽率が10%緩和されるのだ。今回はこの仕組みを整理していきたい。

01

建蔽率って何?

建蔽率とは、敷地面積に対する建築面積の割合のことだ。建築基準法第53条に定められている。

建蔽率(%)= 建築面積 ÷ 敷地面積 × 100

「建築面積」とは、建物を真上から見たときの面積のことで、簡単に言うと「建物の影の面積」だと思えばよい。

建蔽率に上限(指定建蔽率)が設けられているのは、敷地に空地を確保して採光・通風・防火のための空間を残すためだ。都市計画で用途地域ごとに30〜80%の範囲で指定されており、商業系の地域は高め、住居系の地域は低めに設定されることが多い。今年の課題で想定される用途地域の指定建蔽率は次の通りだ。

用途地域 指定建蔽率の一般的な数値
近隣商業地域 60%または80%
商業地域 80%(準防火地域×準耐火建築物で90%に)

試験問題には指定建蔽率が明示されるので、その数値と緩和規定を組み合わせて上限を計算する、という流れになる。

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準防火地域×準耐火建築物で10%緩和される

法53条3項一号により、準防火地域内に準耐火建築物(または耐火建築物)を建てると、指定建蔽率に10%加算できる

この緩和は令和元年(2019年)6月の法改正で新たに設けられた比較的新しいルールだ。背景には、新潟県糸魚川の大規模火災(約147棟が焼損)など、準防火地域を中心とした密集市街地での被害があった。国土交通省の資料によれば、危険な密集市街地の約8割が準防火地域に集中していたことから、防火性能の高い建物への建て替えを促すために緩和が設けられた。つまり「耐火性能を上げた分、建物を広く建てていいですよ」という考え方だ。

建蔽率緩和のビフォーアフター(指定60%→緩和後70%)
準耐火建築物にすることで建蔽率が10%広がる(200㎡の敷地の場合)

たとえば、敷地200㎡で指定建蔽率60%の準防火地域の場合を見てみよう。

条件 建蔽率 建築面積の上限
緩和なし(指定建蔽率のみ) 60% 120㎡
準耐火建築物による緩和あり 70% 140㎡(+20㎡)

20㎡というのは、約6畳1間分に相当する。同じ敷地でも、準耐火建築物にするだけで1部屋分のゆとりが生まれる計算になる。商店街の限られた敷地に建てる今年の課題では、この緩和を活用することで、店舗と住宅の双方に必要な面積を確保しやすくなる。

03

角地の場合はさらに10%緩和できる

法53条3項二号には、特定行政庁が指定する角地(角の敷地)でも建蔽率を10%加算できるという規定がある。

そして、準耐火建築物による緩和(+10%)と角地緩和(+10%)は両方を同時に適用できる(最大+20%)

条件 緩和 根拠条文
準防火地域内の準耐火建築物 +10% 法53条3項一号
特定行政庁が指定する角地 +10% 法53条3項二号
両方該当する場合 +20% 法53条3項(両号同時適用)

ただし、角地緩和の適用条件は特定行政庁(各自治体)が定める細則によるため、自治体によって条件が異なる。試験では問題文に条件が明示されるため、それに従う形になる。

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今年の試験で、なぜここが大事なのか

今年から設計製図試験に法令集の持ち込みが解禁された。これにより、建蔽率の計算を実際にやらせる問題が出る可能性が高まっている。「指定建蔽率○%・準防火地域・準耐火建築物の場合、建蔽率の上限は何%か」という形で問われたとき、法令集を引きながら+10%の根拠(法53条3項一号)を確認して答える流れが想定される。

「計画の要点等」での記述としては、次のような内容が考えられる。

記述例①:緩和を適用した場合

「敷地は準防火地域に位置し、準耐火建築物として計画したため、法53条3項一号により建蔽率を指定建蔽率○%に10%を加えた○%として計画した。」

記述例②:角地緩和も適用した場合

「敷地は準防火地域の角地に位置し、準耐火建築物として計画したため、法53条3項により準耐火建築物の緩和(+10%)および角地緩和(+10%)を適用し、建蔽率を指定建蔽率○%に20%を加えた○%として計画した。」

どちらの記述も「なぜその建蔽率で計画したか」の根拠を条文で示せている点が重要だ。建蔽率オーバーは設計条件違反として大きな減点につながるため、エスキスの段階で建蔽率の上限を正確に把握し、計画に組み込んでおくことが必須だ。

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まとめ

1

建蔽率は「建築面積÷敷地面積×100」で求める。指定建蔽率は用途地域ごとに都市計画で定められる(法53条)。

2

準防火地域内で準耐火建築物にすると、建蔽率が+10%緩和される。令和元年の法改正で新設された規定(法53条3項一号)。

3

角地の場合はさらに+10%の緩和が受けられ、最大+20%の緩和が可能。ただし角地の指定条件は自治体ごとに異なる(法53条3項二号)。

4

今年の課題は準防火地域×準耐火建築物が前提のため、建蔽率の+10%緩和が適用できる。「計画の要点等」でその根拠(法53条3項一号)を明記すると評価につながる。

References

  • e-Gov法令検索「建築基準法 第53条(建蔽率)」 elaws.e-gov.go.jp
  • パナソニック ホームズ「建築基準法改正で建ぺい率が10%緩和(令和元年)」 homes.panasonic.com
  • ishiisan.com「準防火地域に建てると、なぜ準耐火建築物にしなければいけないの?」 ishiisan.com

※本記事は2026年7月時点の公開情報をもとに作成しています。実際の出題内容・設計条件は、必ず試験当日の問題文と公益財団法人建築技術教育普及センターの公式発表をご確認ください。