「確認、下りました」その言葉、実は正確じゃないんです
こんにちは。いしいです。
僕は指定確認検査機関で審査員をやって、たくさんの図面を見てきました。今日はそこで感じていた、ちょっとした違和感の話をします。
みんな同じ言葉を使っている
現場でよく聞く言葉があります。
「確認、下りました」
この一言、建築士さんも、工務店さんも、施主さんも、みんな同じように使いますし、僕自身も長年そう言っていました。ただ、正確に言うと少しだけ違うらしい、ということにある時気づきました。
建築基準法第6条は「建築物の建築等に関する申請及び確認」というタイトルの条文です。
ここに「許可」という言葉は出てきません。出てくるのは「確認」だけ。
建築主事や指定確認検査機関が交付するのは「確認済証」であって、「許可証」ではないんです。似ているようで、法律上はまったく別のカテゴリーの言葉です。
世の中の審査には2種類ある
ここで、僕なりに整理してみた考え方を一つ共有させてください。
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①
面接みたいな審査
=「許可」
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②
マークシートみたいな審査
=「確認」
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「許可」というのは①に近いものです。都市計画法上の開発許可などがこれにあたります。
要件を形式的に満たしていても、審査する側に裁量があって、「総合的に見てちょっと厳しいですね」が通ってしまう世界。行政庁の判断が最終的にモノを言います。
一方「確認」は②です。基準に当てはまっているかどうか、それだけを機械的にチェックする。
マークシート試験と同じで、採点する人の気分は一切入りません。基準を満たしていれば必ず合格。
逆に言えば、基準を満たしているのに落とす権限は、審査する側にも最初から存在しないんです。余談ですが、行政法ではこれを「羈束行為」と呼ぶそうです。
だから民間企業が審査できる
これ、個人的には地味に面白いなと感じているところです。
だとすると、なぜ民間の指定確認検査機関という、いち株式会社がこの審査をできるのか。役所の仕事を民間が担うというのは、本来けっこう大きな話だと思うので、僕は最初、そこが不思議でした。
でも答えはシンプルです。確認は「裁量」じゃなくて「判定」だから。
マークシートの採点だから、行政マンじゃなくても、民間の資格者でも担える。
もしこれが「許可」、つまり①の面接タイプの審査だったら、話は変わってきます。裁量という行政権力そのものを、民間が代わりに振るうことになってしまいますから。
なにげない一言が、制度の設計思想を映している
「確認、下りました」
このなんでもない一言の裏に、実は
- 裁量行為と羈束行為という行政法の考え方
- なぜ確認だけ民間に任せられるのか
- 法律は言葉ひとつ、無駄に選んでいないということ
という話が詰まっている気がしています。普段なにげなく使っている言葉ほど、実はその制度の設計思想を映し出しているんじゃないかなと、僕は思っています。
この「許可と確認の違い」、実務で説明に困った経験がある方は、ぜひコメントで教えてください。