暮らすと働くの、
あいだ。
「コリビング賃貸」、聞いたことありますか。シェアハウスでもないし、ただの賃貸マンションでもない。この聞き慣れない言葉の住まいが、いま都心でじわじわ増えている。
「住む」と「働く」が重なる場所をつくる。
それが、コリビング賃貸という発想だ。
海外発の「コリビング」、
定義はこうだ。
コリビングとは、もともと海外で広まっていたシェアハウスとコワーキングを組み合わせた、職住一体型の住まいのこと。野村不動産の担当者も「シェアハウスとコワーキングを掛け合わせた職住一体型の住まい」と説明している。
ただ、呼び方は会社によってまちまちだ。「コリビング」を名乗っているのは野村不動産の「TOMORE」だけ。コスモスイニシアは「シェアレジデンス」、三井不動産レジデンシャルは「シェアリング型賃貸レジデンス」と呼んでいる。中身は似ていても、ブランドの育て方はそれぞれ違うようだ。
従来のシェアハウスと違うのは、個室がしっかり独立していて、共用部がきちんと「使える」場所になっている点。寝室はプライベートな個室として確保したうえで、1階や共用フロアには広いコワーキングスペースやラウンジを用意している。
Co-living
なぜ今、
大手が一気に動き出したのか。
テレワークの定着
「働くこと」と「暮らすこと」の境界が、どんどんあいまいになった。コロナ禍を経て、職と住をシームレスにつなぐ住まいへの需要が一気に高まった。
都心の賃料高騰
広いワークスペースを別に借りる代わりに、住まいの中に取り込んでしまえば、実質的なコストを抑えられる。
マンション用地の取得難
同じ土地でも分譲・賃貸・コリビングと使い道を複数持てれば、デベロッパー側の事業判断の幅も広がる。
Co-living
参入する大手3社、
それぞれの打ち手。
同じ立地でも、共用部に機能を上乗せすれば坪単価を上げられる。デベロッパーにとっては、ここが採算面でのうまみになっている。
名称も戦略も違う3社だが、狙っている層と解きたい課題は驚くほど重なっている。これは単なる「ブームの兆し」ではなく、「ひとつの市場が立ち上がってきた」と見るほうが正確だろう。
Co-living
見落とされがちな、
建築基準法上の話。
分譲・賃貸マンション
建築基準法上では「共同住宅」にあたる。設計や施工の基準は、住戸ごとの独立性を前提に組まれている。
コリビング型賃貸
建築基準法上では「寄宿舎・寮」にあたる場合がある。そのぶん共同住宅より効率的に建てられるケースがあり、事業としての追い風になっている。
つまりコリビングは、暮らし方の話であると同時に、建物のつくり方そのものを変える話でもある。間取りの自由度や建築コストの構造が、従来の賃貸マンションとは違うルールの上に成り立っているのだ。
Co-living
数字で見る、
コリビングの採算感。
坪単価の上乗せ余地
コワーキングラウンジ面積
2026年3月竣工・総戸数
投資の世界でも、コリビングは運営事業者がまとめて借り上げる「マスターリース」が主流で、安定したインカムゲインを狙うコア系の投資家と相性がいいとされる。シニアリビングや学生寮に投資してきた層にとっては、馴染みのある仕組みでもある。
Co-living
いちばん固定的な商品だったはずの
住宅のかたちを、変えはじめている。
二拠点生活との、
意外な相性。
コリビングは家具・設備つきで契約も柔軟なので、複数の拠点を持つハードルを下げてくれる側面もある。リモートワークが広がり「どこで働くか」の自由度が増したいま、生活拠点を一つに固定しないライフスタイルとは相性がいい。
野村不動産の「TOMORE」は、施設間の引っ越しで仲介手数料・敷金礼金・クリーニング費用を無料にする「ホッピングサービス」まで用意している。住み続けることより、移り住み続けることを前提にした賃貸——その発想自体が、もう新しい。