番外編:店舗に採光計算が不要な理由とは?法28条と法35条の違いを解説【二級建築士製図試験対策】

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番外編:店舗には法28条の採光が
なぜ不要なのか

二級建築士製図試験を受ける人へ

前回の記事で「1階の店舗部分には法28条の採光規定は適用されない」と書いた。これを読んで「なぜ?」と思った人は、感覚が正しい。店舗だって「居室」のはずなのに、なぜ採光が不要なのか。今回はその理由を掘り下げてみたい。

結論から言うと、法28条の採光規定が求めているのは「すべての居室」ではなく、令19条に列挙された特定の用途の居室だけだからだ。店舗はこのリストに入っていない。

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法28条が求めているのは「全部の居室」ではない

法28条第1項は、居室に採光のための窓を設けることを義務付けているが、その対象は「住宅、学校、病院、児童福祉施設等の居室」と書かれていて、すべての居室が対象になるわけではない

どの用途のどの居室が対象かは、建築基準法施行令第19条に一覧として定められている。令19条の表を見ると、住宅の居室(1/7以上)、学校の教室(1/5以上)、病院・診療所の病室(1/7以上)などが並んでいるが、店舗・事務所・作業室はこのリストに入っていない。

法28条の採光対象となる居室の種類
令19条による採光対象の居室の種類(一部抜粋)

つまり、店舗の売り場は「令19条の表に載っていない」ため、法28条に基づく採光の義務が生じないのだ。

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なぜ店舗はリストに入っていないのか

法28条の採光規定は、昭和25年の建築基準法施行時からある規定だ。国土交通省の建築基準法制度概要集によれば、住宅・学校・病院などの居室に採光のための窓等を設けることを義務付けているのは、居室内の明るさや衛生的な環境を確保するためとされている。人が長時間生活したり、子どもが学んだり、患者が療養したりする場所には、健康上の観点から自然の光を確保する必要がある、という考え方だ。

それに対して店舗は、人工照明で自然光を代替できるという考え方から、採光義務の対象から外されている。実際、バーやスナックのように窓のない店舗は世の中に多数存在するが、これらは法律上問題ない。店舗の営業上の照明環境は建築主が決定できる、というのが法の考え方だ。

同じ理由で、事務所・作業室・実験室なども法28条の対象外だ。これらも人工照明で代替可能な空間として整理されている。

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ただし、完全に採光を無視できるわけでもない

ここで注意しておきたい大事なことがある。「法28条が不要」というのは、あくまで法28条に基づく1/7以上(住宅の場合)という厳しい義務が課されないということだ。採光に関する法律は法28条だけではない。

建築基準法には採光に関する規定として法28条・法35条・法35条の3の3つがある。このうち法35条と法35条の3は用途を問わずすべての居室に適用される

条文 対象 必要な開口部
法28条 住宅・学校・病院等の居室のみ 床面積の1/7〜1/5(代替手段なし)
法35条 すべての居室 床面積の1/20以上(なければ避難規定が厳しくなる)
法35条の3 すべての居室 床面積の1/20以上(なければ主要構造部を耐火・不燃にする必要)

法35条・法35条の3で定める開口部(床面積の1/20以上)は、採光というより火事のときに逃げられるか・救助できるかという避難・安全の観点から設けられているものだ。窓がまったくない部屋は煙が充満しても気づきにくく、外からの救助もできない。この条件を満たせない居室は「採光無窓居室」として扱われ、避難規定が厳しくなる。

今年の課題の1階店舗については、ショーウィンドウや入口の開口部が計画されるはずなので、通常は自然とこの基準を満たすことが多い。ただし「法28条の採光計算は不要」と割り切りすぎて窓を一切設けない計画にしてしまうと、この規定に抵触する可能性があるため、最低限の開口部は確保しておきたい。

つまり店舗であっても、「法28条の1/7は不要」だが「床面積の1/20以上の開口部は法35条・法35条の3の観点で検討が必要」ということは覚えておきたい。

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試験での活用方法

「計画の要点等」でこの知識を使うなら、次のような記述が考えられる。

記述例①:店舗部分の採光計算をしなかった場合

「1階店舗部分は令19条に定める採光規定の対象外のため採光計算は行っていない。住宅部分の各居室については有効採光面積が床面積の1/7以上となるよう窓の大きさと位置を計画した。」

記述例②:店舗・住宅の両方についてまとめて記述する場合

「採光については、住宅部分の各居室に床面積の1/7以上の有効採光面積を確保した。採光補正係数は商業系地域の計算式(D/H×10−1)を適用し、前面道路に面した窓を優先的に計画した。1階店舗部分は令19条の対象外のため採光計算の対象外とした。」

「なぜ店舗部分の採光計算をしていないのか」という理由を条文と合わせて書けると、法規を正確に理解した上で設計していることが採点者に伝わる。逆に、何も書かないと「採光計算を忘れた」と見られてしまう可能性もある。

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まとめ

1

法28条の採光義務は「住宅・学校・病院等の居室」だけが対象。令19条の表に列挙されていない居室(店舗・事務所など)は対象外になる。

2

店舗が対象外なのは「人工照明で自然光を代替できる」という考え方から。窓のない店舗が現実に存在するのはこのため。

3

ただし法35条・法35条の3は全用途の居室が対象。店舗でも床面積の1/20以上の開口部がないと避難規定上の制限を受ける。

4

「計画の要点等」では「店舗は令19条の対象外のため採光計算を行っていない」と明記すると、法規を理解した設計だと伝わる。

References

  • e-Gov法令検索「建築基準法 第28条(居室の採光及び換気)」 elaws.e-gov.go.jp
  • e-Gov法令検索「建築基準法施行令 第19条(居室の採光)」 elaws.e-gov.go.jp
  • 国土交通省「建築基準法制度概要集(採光規定の解説)」 mlit.go.jp(PDF)
  • ishiisan.com「採光計算って何?有効採光面積と補正係数をやさしく解説」 ishiisan.com

※本記事は2026年6月時点の公開情報をもとに作成しています。実際の出題内容・設計条件は、必ず試験当日の問題文と公益財団法人建築技術教育普及センターの公式発表をご確認ください。