【線引きパクってOK】用途変更は確認申請いるの?いらないの?

用途変更をした場合、原則、確認申請は必要。
だだし、類似の用途であれば、確認申請は不要。

こんにちは。いしいさん(@ishiisans)です。

用途変更が流行っています。
理由は、既存の建築物を活用しようとしているからです。

用途変更をするにあたり、最初に問題となるのが、確認申請がいるのか、いらないかです。

というわけで、
用途変更をするときに、確認申請がいるのか、いらないのかを
条文を用いて解説していきます。

用途変更の条文

ずばり、法第87条(用途の変更に対する法律の準用)第1項です。

建築物の用途を変更して第6条第1項第一号の特殊建築物のいずれかとする場合(当該用途の変更が政令で指定する類似の用途相互間におけるものである場合を除く。)において、同条(第3項、第5項及び第6項を除く。)、第6条の2(第3項を除く。)、第6条の4(第1項第一号及び第二号の建築物に係る部分に限る。)、第7条第1項並びに第18条第1項から第3項まで及び第14項から第16項までの規定を準用する。この場合において、第7条第1項中「建築主事の検査を申請しなければならない」とあるのは、「建築主事に届け出なければならない」と読み替えるものとする。

〇令137条の18(類似の用途)

解説

読みやすくするため、上記のように、マーカーを引いてみました。
(もちろん、受験生は、線引きパクってOKです。)

つまり、
用途変更後、法6条第1項第一号に該当する建築物になったら、
グレーでマーカーを引いてある条文は守ってね。
ただし、政令で指定する類似の用途なら、守らなくていいよ。ってことです。

ちなみに、
法6条第1項第一号別表1に書いてある特殊建築物で200㎡越えのものをいいます。
グレーの部分の最初に書いてある同条法6条(確認申請)を示しています。
政令で指定する類似の用途令137条の18

よってまとめると

用途変更後、別表1に書いてある特殊建築物で200㎡を超えるものになったら
法6条(確認申請)が必要。
ただし、令137条の18に書いてある類似の用途なら、確認申請は不要。

と読むことができるのです。

長ーい条文ですが、言っているのはたったこれだけです。
こういう長い条文を読むポイントは、何条、何条とかがいっぱい出てきたら、そこを一つのブロック(上記では、グレーのマーカーをした部分)として読むことです。そうすれば、主語と述語が明確になり、読みやすいくなります。

・用途変更後、法6条第1項第一号(別表1かつ200㎡ごえ)になったら、原則、確認申請が必要。
・類似の用途(令138条の18)の場合は、確認申請が不要。

 

次は、令137条の18(類似の用途)について見ていきます。

令137条の18(類似の用途)

法第87条第1項の規定により政令で指定する類似の用途は、当該建築物が次の各号のいずれかに掲げる用途である場合において、それぞれ当該各号に掲げる他の用途とする。ただし第三号若しくは第六号に掲げる用途に供する建築物が第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域若しくは田園住居地域内にある場合、第七号に掲げる用途に供する建築物が第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域若しくは工業専用地域内にある場合又は第九号に掲げる用途に供する建築物が準住居地域若しくは近隣商業地域内にある場合については、この限りではない。
一 劇場、映画館、演芸場
ニ 公会堂、集会場
 診療所(患者の収容施設があるものに限る。)、児童福祉施設等
四 ホテル、旅館
五 下宿、寄宿舎
 博物館、美術館、図書館
 体育館、ボーリング場、スケート場、水泳場、スキー場、ゴルフ練習場、バッティング練習場
八 百貨店、マーケット、その他の物品販売業を営む店舗
 キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー
十 待合、料理店
十一映画スタジオ、テレビスタジオ

解説

長い条文なので、前半部分と後半部分に分けて見ていきます。

ポイント①(前半部分)

赤でマーカーを引いたところをもう一度読んでみてください。

政令で指定する類似の用途は、当該建築物が次の各号のいずれかに掲げる用途である場合において、それぞれ当該各号に掲げる他の用途とする。

ぶっちゃけ何言っているかわかりませんよね。(苦笑)
でも言っているのは、単純です。

同じ号の中での用途変更が、類似の用途になるってことです。

例えば、
劇場→映画館、劇場→演芸場、演芸場→劇場 とした場合は、
同じ一号の中での変更なので、類似の用途に該当します。
よってこの場合は、確認申請はいりません。

また、例えば、
劇場→公会堂にした場合は、一号→二号の変更になるので、
この場合は、類似の用途には該当しません。
よってこの場合は、確認申請が必要です。

ポイント②(後半部分)

ただし書き以降の内容です。

ただし第三号若しくは第六号に掲げる用途に供する建築物が第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域若しくは田園住居地域内にある場合、第七号に掲げる用途に供する建築物が第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域若しくは工業専用地域内にある場合又は第九号に掲げる用途に供する建築物が準住居地域若しくは近隣商業地域内にある場合については、この限りではない。

ただし書き以下をざっくりまとめると
ただし黄色ピンクの場合については、この限りではない。
となっています。

つまり、
黄色ピンクに書いてあることであれば、
類似の用途にはならないよ!ってことです。

黄色三号六号の建築物が、第一種低層住居専用地域第二種低層住居専用地域田園住居地域内にある場合

ピンク七号の建築物が、第一種中高層住居専用地域第二種中高層住居専用地域工業専用地域内にある場合

九号の建築物が、準住居地域近隣商業地域内にある場合

です。

つまり、簡単に言うと
用途地域によっては、同じ号の中での変更であっても、類似の用途として扱えないよ!
ってことが書いてあるのです。

例えば、
診療所→児童福祉施設等に変更した場合、同じ三号の中での用途変更になるが、
用途地域が、第一種低層住居専用地域であれば、類似の用途として扱うことができないのです。
よって、この場合は、類似の用途として扱えず、確認申請が必要となるのです。

類似の用途(同じ号の中での変更)であれば、確認申請は不要。
ただし、用途地域によっては、類似の用途として扱えない場合がある。

さいごに

以上、「用途変更は確認申請いるの?いらないの?」についてでした。

用途変更をした場合、原則、確認申請は必要。
だだし、類似の用途であれば、確認申請は不要。
用途変更は、既存の建物を活用するために、流行っています。
でもぶっちゃけ、
そもそも建てるときに用途変更をすることを前提に建てていません。
なので、階段が2か所以上なかったりして、用途変更ができず、
活用できないことが多いのです。
こういうことをなくすために、
今後は、用途変更のことまで考えて、設計することが大事だと思います。
先の先のことまで提案できれば、そこまで考えてくれてるんだと心に響きますし、
設計に新しい付加価値をつけることができると思います。
さいごまでお読みいただきありがとうございました。